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豹頭王異伝
邂逅
怪異の襲撃
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 パロ解放軍は前述の経緯で、北西部の中心都市エルファに移動。
 ワルスタット選帝侯ディモス、ケイロニア軍の別働隊1万4千と合流。
 グインの指示で進軍を再開の際、人々は総出で見送り戦勝と無事の帰還を祈った。
 見送る群衆の中には戦火に故郷を追われた避難民、ダーナムの人々も加わっていた。

 エルファの市長は住民を代表して感謝の意を伝え、ケイロニア軍に再訪を懇願。
 ディモスも申し出を受け帰国前に必ず立寄る、と語り固い約束が交わされている。
 ワルスタット選帝侯領の主都、パロ北西部の中心的な街は友好関係の樹立を宣言。
 パロ内乱の終結後も、永遠に友誼の絆を結び続けるであろうと演説を行ったが。

 ダーナム奪還の翌日、ヴァレリウスを再び想定外の遠隔心話が貫いた。
 ゴーラ軍を操縦する黒幕と掌を合わせ、遠隔感応波を転換。
 立体的な脳内映像、臨場感の溢れる音響効果を体感。
 竜の歯部隊を襲った怪異が、ナリスの脳裏に再現された。
 イーラ湖に巨大な波が立ち水面から出現した怪魔、水竜の群れが勇者達を襲う。

 護衛の魔道師達は星形魔法陣で魔力を増幅させ、攻撃の念を投射するが。
 竜の怪物は軽々と集団攻撃の念を弾き返し、成す術が無い。
 白くどろりと濁った濃い霧に視界が閉ざされ、北の勇者達は数タール先も見えず行軍を停止。
 警戒態勢に入った竜の歯部隊を、グインの数倍もある竜が襲う。
 湾曲した象牙を思わせる獰猛な鋭い牙が幾重にも植わった凶悪な顎が、不運な兵を噛み砕く。
 竜の歯部隊を率いる隊長、ガウス准将から悲痛な叫び声が響いた。

「トム!」
 謎の咬竜は死体を咥えたまま後方、濃密な液体を思わせる濃霧の中に姿を消す。
「スナフキンの剣よ、出て来い!」
 グインの声に応じ右腕から青白い光が噴出、1タール程の剣と化した。
 豹頭の戦士が剣を掲げ突進すると嘘の様に、乳白色の濃霧は跳び退き一瞬で消失。
 鮮やかな緑色の森林が四周に広がり、入道雲が立ち昇り咬竜の姿は何処にも無い。

 周囲に視界を遮る物は何も無いが、後方には別の濃霧がわだかまっている。
 上級魔道師ギールは遠隔心話、状況確認を試みるが応答は無い。
 ワルスタット侯ディモス、カラヴィア公アドロン、聖騎士侯ルナン、ワリス、ダルカン。
 後方の黒竜将軍トール、金犬将軍ゼノン同行の魔道師達は沈黙。
 上空を飛翔し遠見の術を試みるが、厚い霧の壁に覆い隠され様子を伺う事も出来ぬ。

 グインは部下達を救う為、愛馬に乗り全速力で急行。
 頭上を飛ぶ魔道師を通じ、心話を送った。
(ナリス殿、グインだ。
 急で済まぬが再び、ケイロニア軍が魔道の奇襲を受けた。
 妙な濃霧に視界を塞がれ、巨大な竜の首が兵士達を襲い相当な被害が出ている模様だ。
 スナフ
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