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豹頭王異伝
邂逅
怪異の襲撃
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キンの剣を試すと同時に怪し気な霧は消え失せたが、ゴーラ軍は襲われておらぬか?

 そちらは無事と魔道師から聞いたが、ゴーラ軍を霧と竜が襲う可能性もある。
 心話の伝達よりも直接、五感で体験して貰った方が良いと思ったのでな。
 身体に障るかもしれぬが、感覚的に憶えておいた方が今後に役立つだろう。
 先刻の竜は実体を備える本物か、幻術か俺には解らぬ。
 掠われ行方不明の兵も気掛かりだ、解析の結果を知りたい)

(解析の結果とは?
 今、初めて連絡を受けましたが)
(ギール殿を通じ、白い霧の出現した時点で依頼した筈だが。
 キタイ独自の術か否か、魔道師の塔に照合すると聞いた)

(何故、私に知らせなかった?
 冗談では済まされぬぞ、ヴァレリウス!)
(私は何も聞いておりません、ヤヌス十二神に誓って初耳です!
 数タルザン毎の定時連絡も怠っていませんが、そんな報告は無かった!!)
 魔道師軍団の暫定指揮官ヴァレリウス、ナリスの顔から音を立てて血の気が引いた。
 当直のロルカ、休憩中のディランも慌てて掌を合わせ互いの記憶を確認する。

(半ザン程前グイン王の依頼を受けると同時に、報告を送信しております。
 採取した念波紋《サイコ・パターン》も送付し、指示を仰ぎましたが。
 『解析結果の判明まで待機し、ケイロニア軍の安全確保を優先せよ』と命令を受領。
 下級魔道師の念を集束し結界を再編、強化した状態で維持しておりました)
 ギールの心話を受け、ヴァレリウスの背中を冷たい戦慄が疾り抜けた。

(どうやら、念波を盗まれたか。
 お前の報告した相手は、誰だ?)
 ナリスは冷静に確認を求め、思考停止状態に陥った指揮官が自動的に中継。
(ヴァレリウス様です、報告した際の《サイコ・パターン》を送信します!)
 パロ最強の魔道師は気を取り直し、ギールの思考を走査する。

(確かに符牒は一致しているが、俺は遠隔心話を受信していない!
 ロルカや部下達も総て気付かず、記憶を操作された痕跡も無い!!)
 ナリスと魔道師達の裡に言い知れぬ恐怖の影、不気味な悪寒が拡がる。
 パロ指導部の思考を建設的な方向に誘導する為、グインが割り込んだ。

(どうやら昨夜、俺の夢に現れた魔王子アモンの仕業だな。
 直感に過ぎぬが奴は恐ろしく狡知に長けた黒魔道師、超絶の催眠術師と思われる。
 巧妙に念波紋《サイコ・パターン》を偽装し、心話を遮蔽する事も可能ではないか。
 下手をすると、竜王より遥かに厄介な相手かも知れぬ。
 改めて確認するが、ゴーラ軍の周辺に白い霧や巨大な竜は来襲しておらぬのだな?)

(大丈夫です、改めて念波を統合し精査しましたが異状はありません。
 魔道師が不足であれば即刻、増援します!)
(スナフキン
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