邂逅
聖王の候補者
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「再言しますが第三王位継承権者、ベック公ファーン即位の可能性も考慮すべきと考えます。
レムスと私と貴方は共通の祖父、前聖王アルドロス3世の直系。
パロ聖王家の三兄弟、アルディス王子から青い血を受け継いでいます。
アル・リース王家、アルシス王家は相性が悪く諍いを繰り返している。
パロ再建の旗手には自ら臣下に下った第三勢力、アルディス王家の長男こそ相応しい。
人の痛みを知り、人々の信頼も厚い第三の男が即位しても良いと思うのですが。
そんなに、無茶苦茶な事を言いましたかね?
決断を躊躇うのも無理はありません、結論は先に延ばして構いません。
不肖の弟みたいに脱走されては困りますから、無理強いはしませんよ。
スカールにも叱られましたが、くねくねと無駄口を叩いてばかりで話が進みませんね。
パロ中興の祖となる聖王に即位の要請とは別に、お願いがあります。
草原の民を率い援軍に馳せ参じた私達の親戚、アルゴスの黒太子は危篤状態です。
治療の術は無いと思われていましたが、古代機械なら何とか出来るかもしれません。
パロの誇る医療技術と魔道も通用せず、光の船に運び奇跡に頼る他の術は見当たりません。
ウィレン越えを共に成し遂げた貴方に、草原の民を率いる頑固者の説得を頼みたいのです」
黒竜戦役の際に天山ウィレン山脈を踏破した盟友、ベック公ファーンが眼を剥いた。
「何だって、スカール殿が!?
それは是非とも、私から貴方にお願いしたい位だ!
だが何も知らぬ私に、スカール殿や草原の民を説得する自信は無いな。
私より貴方から直接、話をして貰った方が良いのではないか?」
パロ第1位の心理学者は瞬時に表情を曇らせ、心痛を面に昇らせ聖王家の武人に応えた。
「私が草原の信義を踏み躙ったと怒り、スカールは聞く耳を持たぬのです。
黒太子スカールに友と呼ばれた者は私の知る限り、沿海州のカメロン提督と貴方しかいません。
魔道の類に本能的な反感を抱く草原の民、グル族へ言葉巧みに説明しても逆効果にしかならぬ。
以前クリスタル逗留の際、わが友と呼んだ武人ファーンの言葉なら耳を傾けると思うのです」
「そんな事まで知っているのか、油断も隙も無いな!
横言を言ってる場合ではない、スカール殿を救わなければ!!
私で役に立てるかどうかわからないが、出来る事は何でもやらせて貰う。
グル族には面識がある、話は聞いて貰えると思う。
貴方の言う通りにするが、古代機械や黒魔道に関する説明は無理だ。
スカール殿には何と伝えれば良いだろう、ナリスに同行して貰う事は可能かな?」
率直に驚嘆の感情を吐露する従兄弟、想定通りの反応を満足気に賞味する闇と炎の王子。
上級魔道師ヴァレリウスの冷たい視線、無言
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