暁 〜小説投稿サイト〜
豹頭王異伝
邂逅
聖王の候補者
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
して説得して貰わないと。
 明日の夜には私も立ち合い、古代機械に治療を開始させよう。
 残念だが今夜は、イシュトと話し込む余裕は無いな。
 済まないが眠り薬でも仕込んで、早目に御就寝を願うとするか。
 何を嬉しそうな顔をしているのだね、ヴァレリウス君?)
 パロ解放の為に行動する各部隊には幸いな事に、魔道の奇襲が加えられる事は無かった。

 広大な死の砂漠ノスフェラスの彼方、東方の大国キタイから現れた無慈悲な異形の戦士。
 パロ聖王国の真っ只中に突如として現れ、無辜の民を虐殺し何処かへ消え失せた竜の門。
 一旦は身を潜めた竜王の配下が何故、イーラ湖畔ダーナムの廃墟に現れたかは不明であるが。
 幸いな事に魔道の免疫が薄い新生ゴーラ軍、パロ義勇軍は怪異に襲われず前進と後退を実施。
 パロ北方国境で竜の門と対面の際は相手が遁走の為、小競り合いを演じた経験しか持たぬ僭王。
 サウル老帝の幻影が後継者に指名した赤い街道の盗賊、ゴーラ王イシュトヴァーンが吼えた。

 神聖パロ王国の解消を宣言した第2王位継承権者アルド・ナリス、北の王と並ぶ中原の風雲児。
 予知能力者を自称する魔戦士は底知れぬ不安を鎮める為か虚勢を張り、クリスタル急襲を宣言。
 中原の平和を護る有志連合の最右翼、魔都の解放者と各国に認知させる絶好の機会と主張。
 ケイロニア軍に一蹴された汚名を雪ぎ、ゴーラ軍の名誉を掲げる大舞台と唱え強情を張る。
 鋭い洞察力を秘めた豹頭の戦士グイン、パロ随一の詐欺師はあっさりと真相を看破。
 己の体面に拘り突っ張る猪武者は運命共同体の盟友、口車の天才に押し留められた。

「差し出がましい事とは百も承知だが、私にも出番を貰えないかな?
 正確には私の部下達、魔道師軍団の価値を認めさせる格好の機会を逃す訳には行かない。
 パロの特技を最大限に高く売り付け、対等の立場で同盟を結ぶ交渉材料を確保したい。
 もちろん私自身には何も出来ないし、危険に身を晒す心算は全く無いよ。
 ケイロニア軍だって新生ゴーラ軍と同様、魔道に対処する心得は皆無だからね。
 グインに貸しを作って置けば後々、何かと都合が良いと思わないか?」

 ダーナムの生存者は町長以下全員、エルファへ避難していた。
 ゴーラ軍が南下した以上、マルガからの援軍は望めない。
 イシュトヴァーンの統率する武装集団が進軍する先は、必ず流血の巷と化す。
 国王軍が体勢を立て直し攻め寄せて来る直前、ダーナム市民は断腸の思いで街を離れたが。
 神聖パロ王妃リンダの要請を待たず、パロ北西部中心都市エルファの人々は行動を起こした。
 ダーナムの避難民を市民総出で受け入れ、同胞に暖かい救いの手を差し伸べている。

 人々の行動には魔道師の放った遠隔感応波、マリウスの歌声も
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ