邂逅
スカールの異変
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「お前に後催眠の術を施し命令を植え付けた竜王、黒魔道師は実に厄介な敵だ。
謎の王太子アモンを護る為、お前を利用した理由は推測しているだろう?
キタイの竜王に敵対する戦力の削減、同士討ちを狙っている事は明白だ。
マルガ北方の新生ゴーラ軍、ケイロニア軍の激突を再現する気は無かろう」
穏やかな言葉と温顔にも誤魔化されず、中原の風雲児は鼻に皺を寄せ獰猛に唸った。
仏頂面の上級魔道師は粗野な魔戦士を依怙地に無視、ナリスの顔色を横目で窺う事に専念。
「そんときゃ、そん時だ。
ケイロニア軍だけ戦わせて、卑怯なやり方をしてると見られんのは願い下げだかんな。
口先で上手く丸め込もうったって駄目だぜ、俺だっていろいろ考えてんだ。
あんまり、ゴーラ軍を悪役にしねえでくれよ。
あんたなら、わかってくれるよな。
俺が本物の王様になろうと足掻いてんだ、って事をさ」
昨夜に新生ゴーラ軍を襲った非常事態、ゾンビーの夜襲は早目の的確な対処が功を奏した。
イシュトとマルコが松明で闇を照らし、兵士達の動転も冷静な指揮官を得て鎮静化。
ゴーラ軍将兵の中には若さ故に経験が浅く、心理平面に重大な衝撃を受けた者も居るが。
経験の浅い若武者達は雪辱を誓い、ケイロニア軍への対抗心に燃え脱落者は僅少であった。
「レムスの小僧、寝覚めの悪くなる様な厭らしい手を使いやがって。
悪い夢を見ちまったぜ、クリスタルで逢ったら只じゃ済まさねえからな!」
「我が従兄弟殿に代わって御詫びを申し上げるよ、新たに国を興した勇猛なる国王陛下。
誠に済まないね、イシュトヴァーン。
キタイの竜王が動かす操り人形、若き聖王自身には何の力も無いのだが。
レムスが豹変する所は、そなたも見た筈だが思い出せるかね?」
イシュトヴァーンを盗み見て、ナリスが笑いながら応える。
聖王家の麗人は親密さを誇示、ヴァレリウスは思わず渋面になり内心を暴露。
「あぁ、はっきり覚えてるさ。
ありゃあ、レムスなんかじゃなかったさ。
外面は、レムスだったけどな。
あのガキにゃ、あんな迫力は出せやしねぇよ」
パロ最高峰の知性を誇る主従の幕間劇、無言の抗議を察知する術は無い筈だが。
予知能力者と噂される第六感を備えた紅の傭兵、魔戦士の不審気な瞳が魔道師を直視。
「そなたは、わかってくれるから助かるよ。
レムスが竜王に乗っ取られている、と告発したのだが当初は誰も信じてくれなくてね!
竜王の憑依から解いてしまえば、あの子は無害だよ。
私に免じて、許してやってくれないか」
「別に構わねぇだろ、レムスなんざブッタ斬っちまってもさ!
あんなガキは放っといて、ナリス様がパロ国王になれば良いじゃねぇか?」
会心の微笑を披露する闇と
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