邂逅
魂の共鳴
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の源泉、《ワンダー・チャイルド》が蘇生する。
宇宙生成の秘密を読み解く野望を胸に秘めた夢想家、闇雲に進化の可能性を探る選ばれし者。
好奇心に満ちた闇色の瞳が無限に拡がる大宇宙、漆黒の闇を背景に瞬き輝く星々の光を再現。
肉親に捨てられる恐怖に怯え、魂に刻印された傷を持つ者にしかわからぬ痛み。
共通する心の深闇を抱える2人にしか成し得ない、深い共感と感情の相互作用が生じていた。
ヴァレリウスも親の顔を知らず、心の傷を負った孤児。
己が何者か確信の出来ぬ、妄執の底無し沼から未だに抜け出せぬ野心家。
深い相互理解を有し感覚を共有するナリス、イシュトヴァーンの同類と言えなくはないが。
強固な自己不信に裏打ちされた深甚な不安、盲目的な心の動きと深い心闇は次元を異にする。
己の存在意義を確信出来ぬ闇の王子とゴーラの王、チチアの捨てられた赤子に共通する心の闇。
魔道師である事に心の拠り処を得た彼とは明白な違い、隔絶の差が存在した。
古代機械の主ではないと思い知らされ、燃え尽きたかと見えたナリスの心には。
等質の心闇を秘めたイシュトヴァーンの熱情、ひたむきな想いこそが同じ指向性を有する。
ヴァレリウスには到底、納得できるものではなかったが。
意気消沈するナリスを、立ち直らせたもの。
枯れかけたかと思える感情を蘇らせ、内的宇宙から現実へ回帰する力を与えた銀の鍵。
心の奥底にまで深く響き他の誰よりも強く共鳴を生起させ、魂を蘇らせる奇蹟を為し得た秘訣。
それは魂の友を本気で心配する中原の風雲児、イシュトヴァーンの心と感情の昂りであった。
(ナリス様、ケイロニア軍をゾンビーの群れが襲いました!
グインも魔王子アモンの奇襲を受けましたが、ヒプノスの術を撃退された模様です!!)
パロ最強の魔道師には、誠に不本意な成り行きではあったが。
無粋な邪魔者と感じながらも瞳を輝かせて聞き入る魂の主、ナリスの脳裏に急報を送り込む。
同じ種族に属する闇色の瞳が強い光を宿し、熱心に話し続ける風雲児の声を遮った。
「大変興味深い話を中断してすまないが、ケイロニア軍が魔道の奇襲を受けた。
急いで部下に指示を出した方が良いが、ゾンビーを見た事はあるか?」
「魔道の奇襲?
ゾンビーならサンガラの山中で、タルーの手下に化けてた奴等と出くわしたぜ!」
「化けていたという事は、死体が動いていた訳ではないのだね?」
「あぁ、見た目は普通の、えらい無口で生気の無い兵隊どもって感じだったよ」
「夜の闇の中で突然、動き出した死体に襲われてもゴーラ兵は大丈夫?
魔道慣れしていない者達が、恐慌状態《パニック》に陥る心配は無い?」
災厄の運び手は迫り来る危機を察知し、思わず腰を浮かせ表情を一変
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ