これが平和
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異世界よりやって来たもう一人の男ウルフ…
彼もまた、グランバニア王国の中枢で働いている。
第2王位継承者であるマリーのフィアンセとして存在する彼を、名実共に周囲に認めさせるべくリュカ国王自ら主席秘書官として登用した。
無論今までにも、秘書官という役職に形だけ就けていた者も多数居るのだが、その全てが見た目(美女)で選んだ存在だった為、栄誉職的な存在となっていたのだが、ウルフを就かせた事により、初めてまともに機能し始めたのだという。
だが、いきなり現れた青二才が、国王に重用される事に憤慨する者も暫し…
今までは国王の考えを説明することなく押し通してきたのに、秘書官には分かりやすく説明し学ぶ時間を与えている。
更には…
どんなに位の高い軍人がどんなに頼み込んでも、のらりくらりと言い訳をし手合わせをしてこなかった国王なのに、秘書官には直接剣術の手解きを行っているのだ。
しかもグランバニアの姫君を手中に収めるという、何とも羨ましい現実に、気位ばかり高い貴族出身者からしてみれば面白いはずもなく…
国王の側を離れた時を見計らい、陰湿な苛めを行うようになっていた。
ウルフも初めのうちは堪え忍んでいたのだが、ある時苛められている瞬間を…貴族連中視点で言えば、苛めている瞬間を国王に見られてしまったのだ!
勿論それは偶然ではなく、何となく察していたリュカが、現場を押さえる為に仕掛けた狡猾な罠だったのだが、貴族連中にしてみれば泣きたくなるような瞬間だったに違いない。
しかし、そこで簡単に貴族連中の首を切らないのがリュカの恐ろしい所で…
『おいウルフ…何でそんなアホ共に良い様に苛められてるんだよ!?この国の王である僕が許すから、思いっきり反撃しちゃえって!力加減間違えて殺しちゃっても、お前を咎めたりはしないよ。まぁ、殺さない様に長時間いびる方が楽しいけどね!』
と爽やかな笑顔で、人生でも・この世界でも・この仕事でも先輩である彼等に逆襲の許可を与えたのだ。
剣術の腕前だけで言えば、ウルフより強者は多数居る。
しかし魔法を使用した実践となれば、彼に勝てる人材は少ないだろう。
100%勝てるのはグランバニアでもリュカとティミーくらい…
運次第では負けるかもしれない者が数人いるだけ。
そんな実力の持ち主に、逆襲する権利が与えられたとなれば貴族達には悪夢となる。
次の日から貴族等の接し方が180度変わった。
脅えた目をした低姿勢で、ウルフの顔色を常に気にする卑屈っぷりに…
ウルフは元々こんな馬鹿共の相手をする気など無かったのだ…
そんな事より気掛かりな事があるのだ。
それは彼女のマリーの事だ。
異世界での冒険が成長の糧となり、人としても女性としても著
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