第3部 始祖の祈祷書
第1章 アンリエッタの決断
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さか、気づかないとでも思ったか?まあ、まさか話を聞いていたとは思わなかったがな」
ウルキオラは再び本に視線を移した。
タバサは目を見開いて、ウルキオラに言った。
「イーヴァルディー……」
タバサのそんな様子を見て、ルイズとキュルケ、ギーシュは驚いている。
「ああ、イーヴァルディー。俺の左手に刻まれたルーンの名だ」
タバサはもっと詳しく知りたいと思ったが、ウルキオラが答えてくれないと察して、目線をそらした。
「そう……」
タバサはそれだけ言うと、ウルキオラと同じように本を読み始めた。
キュルケはそんなタバサの様子を見て、タバサを揺さぶった。
「ねえ、タバサ!あなた、イーヴァルディーに何か思い入れでもあるの?」
タバサはされるがままに、がくがくと首を振った。
そんな風にキュルケが暴れたおかげで、バランスを崩した風竜は、がくんと高度を落とした。
その時の揺れでギーシュがバランスを崩し、風竜の背中から落っこちた。
ぎぃやあああああああ、と絶叫を残し、彼は落下した。
相手がギーシュなので、誰も気にしないのを見たウルキオラが、本を閉じた後「ちっ」と舌打ちをして、風竜の上から飛び降りた。
「ウ、ウルキオラ!」
突然飛び降りたウルキオラに、ルイズはどこか寂しい顔をして言った。
ウルキオラがギーシュを抱えて地面にふんわりと降りた。
そこは草原の中を走る、街道であった。
ギーシュはウルキオラから落とされた後、立ち上がると、空を見て言った。
「彼女たちは、迎えには来てくれんのかね?」
ウルキオラは空を見上げた。
青空の中、風竜はぐんぐん遠ざかっていく。
「そうらしいな」
「なるほど。では歩こう。まあ、半日も…」
ギーシュがウルキオラに背を向け、街道を歩こうとしたが、ウルキオラに抱えられたため、言葉を途中でとめた。
「お、おい…ウルキオラ?まさかとは思うが…」
ギーシュはラ・ロシェール行きの時のことを思い出した。
「こっちの方が速い」
ウルキオラはそう言って地面を蹴り、物凄いスピードで空中を滑走する。
「ちょ、やめ…もう、ウンザリだぁぁぁぁぁ〜…」
ぽかぽかと太陽が照らす中、ウルキオラは魔法学院目指して飛んで行った。
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