第九十七話 ガリア介入
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ヘルヴェティア地方の守備隊はガリア軍の様子を遠くから伺うだけで、殆どちょっかいを掛けてこなかった。
ブルボーニュ公爵は、フランケン大公と戦っている最中に背後から襲い掛かってくるのを恐れて、早急に対処する様にシャルルに進言した。
「公爵の言いたいことは良く分かった。実はヘルヴェティアの事は対処済みなんだ」
「対処済み? いったいどういう事です?」
「開戦前にヘルヴェティア辺境伯に密使を送ってね、ヘルヴェティア地方に侵攻しない代わりに、中立を保つ確約をしていたんだ」
「な、そうなのですか……!」
帝政ゲルマニアの始まりは、数百あった都市国家が連合し、現在の形になったとされていて、早い話が寄り合い所帯で、諸侯のゲルマニアに対する忠誠心は薄い。進んで戦争に参加しようという奇特な諸侯は指で数えるくらいしかいない。
シャルルはゲルマニアの構造を事前に調べ、戦いを回避できそうなゲルマニア貴族に片っ端から密使を送り、無駄な戦いを避けて兵の消耗を少なくさせた。
ヘルヴェティア辺境伯もガリア軍に対峙しているふりをして、遠くから見ているだけで一切手を出そうとしなかった。
「それに、三千ほどヘルヴェティア傭兵を雇うことも出来た」
「なんと、同胞と対峙しているというのに、傭兵としてガリア軍に加わると?」
「なんでも東方を見習って、ゲルマニアからの独立をもくろんでいるらしい。したたかな連中だよ。戦後、ゲルマニア軍が逆襲をしてくるのを見越して、ガリアに独立保障を求めてきた」
「シャルル殿下は、その話を?」
「受けた。数は少ないがヘルヴェティア傭兵は精強だ。戦えば勝だろうけど下手に損害を受けたくない」
「左様でございましたか。それならば背後を襲われる心配をせずにフランケン大公と戦えますな」
「完全に信じ切れないけど、ガリア軍が優勢なうちは裏切らないだろうね」
こうしてガリア軍は、後顧の憂い無くフランケン大公と戦える状況を得た。
ガリアの奇襲から始まった二大大国同士の戦いは、フランケン大公の登場により、いよいよ激しさを増し、シャルルの挑戦は本格的な山場を迎えようとしていた。
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