第九十七話 ガリア介入
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手放してしまったあの子と再会できるなら私も協力します」
夫人はシャルルの出征を了承し、こうしてシャルルは、憂い無く戦役に臨むことが出来るようになった。
「私が王になった時、シャルロットに本当の事を話そう。シャルロットに双子の妹が居る事を。これから一緒に暮らすようになれる事を……」
ベッドで眠るシャルロットの青い髪を撫で、改めてシャルルは闘志を燃やした。
★
二週間後、シャルルに率いられたガリア軍は、ガリア・ゲルマニア国境であるアルデラ地方からゲルマニア国内に侵入した。
国境には三万程のゲルマニア軍が防衛をしていたが、三十万を越すガリア軍が奇襲に近い形で攻撃を仕掛けてきたことで、ゲルマニア軍三万は瞬く間に敗走し、攻勢から僅か一カ月でゲルマニア南西部のヴュルテンベルグ地方とバーテン地方のほぼ全土を占領し、このまま北上を続けバウァリア大公の領土を抜ければ帝都ヴィンドボナは目と鼻の先であった。
シャルルは占領した領土でガリア軍が強姦や略奪を行わないように訓示を出し、意外な事に、傲慢で知られるガリア軍で略奪行為に及ぶ者は出なかった。この事だけでもシャルルの統率力の高さが窺い知れるだろう。
二つの地方を占領し、一定の成果を得たシャルルに新たな敵が現れた。
この遠征の最大の障壁であるゲルマニア西部の雄・フランケン大公が満を持して動き出し、シャルル率いるガリア遠征軍を討つ為に南下を開始した。
「シャルル殿下。フランケン大公の軍勢が、わが軍に迫っているとの報が届きました」
「矢張り動いたようだね、ゲルマニアは私たちガリアが介入する事を考慮に入れていたようだ」
攻め落とした城の一室で、シャルルはフランケン大公の軍が動いた事を知った。
「如何いたしましょう?」
「今までの様に数で押せば勝てるような相手ではない。すぐに物見を出し、フランケン大公の軍の規模と居場所を突き止めるんだ」
「御意!」
ガリア軍は偵察を出し、フランケン大公軍の動向を掴むと、すぐさま迎撃に動いた。
フランケン大公を倒せば、西ゲルマニアで私たちの敵になる軍勢は居なくなり、切り取り放題のボーナスゲームとなる。シャルルはガリアに大勝利をもたらす為に賭けに出た。
占領地を発ったガリア軍は、四方に偵察を放ちながら、ゆっくりと北上を開始すると、程なくフランケン大公の軍勢を見つける事が出来た。
フランケン大公の軍は、『黒い森』の異名を持つシュヴァルツヴァルト地方に居て、ガリア軍と同じように偵察隊を放ち、ガリア軍の動向を探っていた。
「これは……嫌なところに陣取ったな」
急ぎ作戦会議を開いたシャルルは、大きな羊用紙に描かれたお粗末なシュヴァルツヴァルト一帯の
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