空白期 第19話 「ユーリとお出かけ その1」
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よう。
「……予定より早いけどもう行く?」
「え、いいんですか?」
「うん」
「じゃあ、お願い……」
丁寧に頭を下げようとしたユーリだったが、不意に俺の顔を見ながら固まってしまった。シャワーを浴びてから何も食べたりしていないので顔に何かついている可能性はないだろう。俺ではなく、俺の背後に何かあるのだろうか。
――……まさかシュテルあたりがいるのか? あいつやレヴィならどこからともなく現れても納得できてしまう部分があるだけに可能性はあるぞ。
などと思い振り返ろうとすると、ユーリが近づいてきて首に掛けていたタオルを手に取った。何をするつもりなんだ、と考えようとした矢先、彼女は少し頬を膨らませて俺の髪を拭き始める。
「え、ちょっ……ユーリ?」
「ダメですよ」
「ダ、ダメ?」
「そうです。温かくても油断すると風邪引くんですから。きちんと拭いておかないと」
あぁなるほど……本当に良い子だな。
これからきちんと乾かして最終準備をしようかなって思ってたけど、これは口にしないでおこう。それにしても、ユーリの顔が近い。自分で拭きたいところだけど……今の顔を見る限り、言っても聞いてくれないだろうな。まあ誰にも見られてないし、このまま好きにさせておこう。
「はい、いいですよ……って、すみません。自分で出来ましたよね」
「まあそうだけど……少し嬉しかったかな。距離が縮まってる感じもしたし、あまり今みたいなことされた覚えがないから……」
言ってから思ったが、後半はいらなかったよな。ユーリは俺の両親のことは知っているわけだけど、余計な気を遣わせるだけだし、俺が今みたいなことをしてもらいたいと思ってるって誤解されかねないわけだから。
「ショウさん……困ったこととかしてもらいたいことがあったら何でも言ってください。わたしにできることなら何でもします!」
「あ、ありがとう……でも気持ちだけ受け取っておくよ」
「そんなこと言わずに。ショウさんが笑ってくれたらわたしも嬉しいですし……あっでも、こういうことはディアーチェとかに譲るべきですかね」
分かってたことだけど、何でもかんでもストレートに言う子だな。それに俺とディアーチェを何かしらくっつけようとする。俺と彼女は友人であって、それ以上でもそれ以下でもないんだけどな。
「いや……寝込んだりすれば別だろうけど、基本的にあいつはそういうことしないよ」
「ディアーチェのこと分かってるんですね」
会って少しすれば、あいつが言動の割りに普通の女の子だってのは誰だって分かると思うけど。というか、目を輝かせてこっちを見ないでほしい。あいつとはそういうんじゃないんだから……話が終わるのを待つよりは切り替えた方が早いか。
「そんなことより出発しない? 歩きな
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