第25話 中国を舞う鷹
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ホークアイは地面を指さした。
別に、彼の足元に何かがあるわけではない。
「この病院は村とはわずかながら離れている。だが、歩いて5分もかからない」
雨と豪はうなずいた。彼らはすでに知っているからだ。
「それなのに誰一人来ないというのは、いくらなんでもおかしすぎないか?」
ホークアイは少しオーバーに声を出した。
とたんに、アスラとマリー以外の全員の雰囲気が変わった。
「感づいたか‥‥‥‥‥と思ったか?」
全員は応答しなかった。ホークアイの口調が少しずつ厳しいものへと変わっていった。
「前に村にいるときも表には誰もいなかった」
この場が少しずつ険悪なムードになっていった。
「一体どういうことなんだっ?説明してくれよッ!」
ホークアイは納得したかったのだ。
自分たち以外、誰も来ていない結婚式の理由を追及することで。
「‥‥‥‥‥‥‥‥ホークアイさんは意外と頭が切れるんですね」
雨は不穏な空気の中つぶやいた。
「そうです。できたら話したくなかったんですけどね」
雨はついに観念して、話し始めた。
「‥‥‥‥‥‥‥実はこの村の住人は私たち2人だけなんです」
「えッ!!?」
アスラ、マリーは驚いて声を上げた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥やっぱりそうか」
ホークアイはそれを可能性の1つと考えていたのだろうか。
それとも、すでにそう結論付けていたのだろうか。
彼は少なくともそのことに気付いていた。
「ある日、″鎧虫″がこの村に押し寄せてきて、住民のほとんどは死に
残った人もこの村を捨てて大きな村に行きました」
雨は言うのも辛そうに見えた。
「だから、ここには私と豪さんしかいないんです」
雨は今にも泣きそうな表情だった。
「‥‥‥‥‥‥何で」
アスラはつぶやいた。
「何で戦わなかったんだよ!雨さん強かったじゃないか!!」
アスラの脳内には目の前で死にゆく人々の姿がイメージされていた。
その悔しさのあまり彼は怒りの声を上げた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥グスッ」
雨は涙を流して泣きじゃくった。
「わ、私だって‥‥‥‥‥‥グスッ、助けたかったですよッ!!」
彼女はついに泣き出した。アスラはそれを見て顔をそらした。
「俺たちはその時はまだ弱かったんだ」
豪は歯を食いしばり、拳を握りしめていた。
「数えられないぐらいの″鎧虫″を目にした時
俺たちは足はすくんでいて動けなかった」
彼はさらに強く拳を握った。
「弾き飛ばされ、潰され、貫かれて死んでいく人たちを
俺たちはただ見ているしかなかったんだ‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
彼の目からも涙が流れていた。アスラは
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