酷暑のイベント
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り出してしゃがみこみ、そのウサギに向けて差し出した。
「とーととと」
それはニワトリを呼ぶときの声じゃなかったか、と一瞬不安になったが、うまく人参の匂いを嗅ぎつけたのかこちらへ向かって進み始めた。
「あっ!?やっぱりいいです!触らないでっ!」
「しーっ…騒がないでくれ…また逃げられちゃうぞ…」
ジェスチャーで静かにするように伝え、そのウサギを受け止める準備を整える。
声の感じからして女の子だろう。だんだん近づいてくるにつれて、服装がはっきり見えるようになってきた。
白のワンピースに大きめの麦わら帽子。サンダルを履いているため、追いかけて走るのに難儀していたようだ。
このイベントをきっかけに『あの、お名前は……』とか始まるのだろうか。
「っ!避けてください!」
「え?」
彼女いない歴=年齢の俺は、くだらない妄想に集中し過ぎた。
いつの間にか眼前に迫るウサギ。
いや、違う。
風によって白のヴェールが取り払われた下にいたのは、光の、玉。
何を言っているのか意味不明だろうが、《それ》は本当に、力無く輝く、球体だったのだ。
咄嗟に身を捻るが、インドア派の俺にそんな反射神経が備わっているわけがなく、光の玉が視界いっぱいに広がって………
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