8.雑談
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「なのは、昨日の話聞いた?」
その一言で話は始まった。
「昨日って?何かあったの?」
なのはは本当に何があったのか見当がつかないようで、首を傾げている。
「昨日行った病院の窓と籠が壊されて中に居たフェレットが逃げ出して行方不明なんだと。なんか知らないか?」
夜市は何も知らないかの様にそう問いかけた。
本当は昨日あった出来事を上空から見ていただけではなく、撮影して保管さえもしている状態であり、事の真相さえも知り得ている。
だが、今現在その事は殆どの人間が知りえないことだ。
いずれ話すことになるかも知れない。だが、今はまだなのはの友人、朝霧夜市なのだ。魔道師、朝霧夜市ではない。
「ああ、それはね…えーっと…」
その後になのはが語ったのは自分は夜、たまたま散歩していたら、そこで偶然、昨日拾ったフェレットがいるのを見つけて、病院に連れ戻すにも時間が遅かったのでいったん家に持ち帰ることになった。と言う具合の話だった。
確かに事実である。重要な所が全く抜け落ちているが、それでも言っていることに嘘はなかった。
「そっか。今はなのはの家に居るんだね」
「それにしてもすごい偶然だね。たまたまその子と道でばったり会うなんて」
「もうそんな運命だと考えてもいいくらいなんじゃないのか?」
「あ…あははは」
そこまでの会話を聞いてなのはの口から出てきたのは苦笑いだけだった。
「ん〜…なのは、一つ聞きたいんだけどさ、何か隠してる。なんてことは無いよな?」
「そんな事ないよー夜市君。そんな何か隠してるなんて思われるなんて侵害だよー」
なのははそんな事を軽い口調で言う。
「あ!それでね、あの子、飼い主がいる訳じゃ無いみたいなの。それだから昨日、帰った時にお父さんたちに許可を取って、当分はうちで飼う事になったの」
先ほどから苦笑いばかりだったなのはだが、この時は本当に嬉しそうに笑いながら話していた。
「名前はもう決まってるの?」
「うん。ユーノ君」
「ユーノ君かいい名前だね」
その一言でその話は終わり、別の話に変っていった。
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