天下分け目の戦国MOVIE大合戦
奪われた仲間
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
がた、がたた。馬車は砂利道を走るほどに揺れる。その馬車の上、紘汰は片膝を抱えていた。
「――さん、紘汰さんっ」
「うわっ。ミッチ?」
気づけば光実の顔がすぐ目の前にあるほどに近づかれていた。
「ずっと呼んでるのに上の空でしたね。やっぱり心配ですか。咲ちゃんのこと」
「分かるか?」
「紘汰さんて、本当に何か心配事があるとしゃべらなくなるんですよね」
「う」
さすがはチーム鎧武のブレーン。紘汰の無意識の癖まで把握しているらしい。
「僕だったら、妹がこっちに迷い込んだら、きっと紘汰さんみたいに黙ってられない。すごく取り乱して、みっともないことになってます」
光実が浮かべた寂しげな笑みに、どんな意味が込められていたのか。
「殿! 前を!」
その問いを口にする前に、イエヤスの家臣の一人が叫んだ。
数人の足軽に、中心には赤いライダースジャケットの男。その男に守られるようにして、丈の短い着物の女。それらの一団が、怪人に追われながらも逃げている。
追われている一団の中で、唯一、赤い男は刀ではなく西洋剣らしき武器で戦っていた。男は傍らの女に近づいた怪人を、剣で斬って捨てた。
「ヒデヨシ?」
「あれがヒデヨシ!? じゃあ咲ちゃん……月花はっ」
どこにもいない。あの一団にはアーマードライダーがいない。
とにかくあの男に事情を聞かないことには、咲の居場所も分からないらしい。
「ミッチ、行くぞ!」
「はい!」
紘汰と光実は馬車から跳び下り、戦極ドライバーを装着した。
「「変身!」」
オレンジの鎧が、ブドウの鎧が、紘汰と光実を変身させる。鎧武と龍玄になった彼らは、おのおのの武器を構え、怪人を倒すべく走り出した。
怪人はどれもインベスには見ない種類ばかりだった。ステンドグラスを体表にしたような怪物、雪男のような妖怪系の怪物。昆虫のような怪物。
それらに対し、鎧武は大橙丸と無双セイバーを揮った。
「ぐはっ!」
すぐ横で、イエヤスの家臣が怪人に大剣で斬られて、赤い血を噴き上げて倒れた。
鎧武や龍玄ならいい。変身している間はダメージも軽くすむ。だが、生身の人間があんな怪人の攻撃を食らってしまっては。
鎧武はその家臣を襲った怪人を退け、家臣を抱き起こした。
「武神どの、殿を……殿をお守りくださ……」
最後まで言い切ることなく、その家臣は息絶えた。
目の届く範囲で、この腕の中で、一つの命が失われた。
『……ゃめろおおおおお!!』
次々と家臣を屠る怪人たちに向けて、鎧武は叫んだ。咆哮だった。
龍玄は鎧武と戦場が離れてしまいながらも、彼より先にイエヤスたちに追いついた。途中で白いアー
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ