現れた予兆
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アルティメギル基地のとある部屋。
そこには、スワンギルディが一心不乱に鍛錬に励んでいた。……変態の彼等にしては珍しく、普通に剣を振る鍛錬である。
スワンギルディの顔には、先刻までは無かった筈の覇気が取り戻されており、また明確な目標が出来た事が窺える。
何故彼は覇気を取り戻す事が出来たのか……それは少し前までさかのぼる。
クラーケギルディとの諍いを止め基地の中へと足を踏み入れたリヴァイアギルディは部下達を一旦解散させて、スパロウギルディへと基地の構造を聞いて行くなかで、それとは別にもう一つ問いかけた。
「ドラグギルディが使っていた部屋は何処だ? スパロウギルディ隊長よ」
「……何故、ドラグギルディ様のお部屋を?」
その疑問を口にしたのはスワンギルディ。スパロウギルディの後ろから一歩進みでて、リヴァイアギルディへ面と向かっていう。
リヴァイアギルディはニヤリ笑うと、高笑いしながら言い放った。
「なーに、情けない敗北者の部屋でも見てひとしきり笑ってやろうと思ってな! 負け犬を嘲笑い英気を養う為よ!」
誤魔化す事も無く言われたセリフにスワンギルディは体を震わせるも、スパロウギルディは顔を伏せたまま何も言おうとしない。
やがてドラグギルディの部屋を教えられそこへ向かおうとしたリヴァイアギルディの方を、我慢できなくなったかスワンギルディががっしりと掴んで引きとめた。
「今の言葉、御取消しを」
「……何?」
「スワンギルディ!?」
スパロウギルディの制止も耳に届かぬと、スワンギルディは怒りをたぎらせてリヴァイアギルディを睨み据える。
「ドラグギルディ隊長は立派い戦い殉職されました。観た者こそおらずとも立派な散り際であったと―――」
「ほざくなよ若造めが!!」
瞬時に巻き付けている一本の触手を……何度見ても股間から生えているようにしか見えない触手を、一気に解いて抜きはらって、スワンギルディを跳ね飛ばしてしまった。
「うぐぁっ!?」
「敗れた者を何時までも語り、敗戦を美談で取り繕う暇があるのならば剣の一本でも振るう事だな。アイツと同じ負け犬になりたくなければな!!」
触手をしまって背を向けたまま、リヴァイアギルディは高笑いと共に去っていく。それを聞いたスワンギルディは再び怒りを覚えると同時に、自分がドラグギルディに恥をかかせる一端を担ってしまった事を悔い、震えていた。
スパロウギルディはそんなスワンギルディの方を叩くと、リヴァイアギルディの方を指差した。
「よく見てみるがいい……リヴァイアギルディ様の“本心”を」
「! あ、あれは
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