現れた予兆
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
て機動力を無くすつもりだ。
対処が間に合わずモロに喰らったエレメリアンは転がるが、肝心の腕は皮一枚で繋がっている。動かない所を見るに断たれる寸前で固定化したらしい。
〔ギョォォ、ジョオオオオオオオ!!〕
完全にキレたエメレリアンは怒りの咆哮を上げ、斬り飛ばされかけた右腕を無理矢理後方へ振りかぶって左腕で前方へ跳躍した。
その速度はクラブギルディが相手の背後へ回る速度よりも格段に速い。
だが……グラトニーはその速度をも上回り、逆に背後を取ったのだ。今更驚く事でも無い。
その余裕から相手も実力ではかなわないと悟ったか、右腕と左腕を固定化されたまま右へ左へ跳ねながら、腕を風車の羽根のように曲げてジャイロ回転の突進を繰り出して来た。
「うぐっ! この!」
『中々に厄介な奥の手ダナ……ダガ!』
「うん!」
跳ねまわり動きまわるエレメリアンを中途半端に迎撃しながら、グラトニーはさもキツそうにふるまって脚をわざと縺れさせる。
〔ジョギョォォォオオ!!〕
「にぃ……ひっかかった」
〔ギョゴッ!〕
そこを逃さず狙ってきたエレメリアンへ“風刃松濤”続けざまにぶち当てて、振り上げた脚を振りおろし踏みつける。
回転は強引に止められ、完全な隙を晒した。
そのまま蹴りとばして直後グラトニーも跳躍。何も無くなった空中でエレメリアンは反撃が出来ず、真下へと向けられたグラトニーの左掌を、存在せぬ眼で睨みつけるのみ。
「“風砲暴”ァァッ!!」
〔ジョオオオオオォォォ――――――〕
膨大な嵐を受け大地に螺旋を刻みながら、エレメリアンは本当に千切れとんだ右腕を残して後型も無く消え失せた。
その左腕を美味しくなさそうに食べながら、グラトニーはラースへと問いかける。
「ラース、こいつって何で出てきたの?」
『属性力目当てダロ。それ以外考えられるカヨ。……ケド、どうも臭ェ』
「……原因は?」
『なんかソイツかラナ、“植えつけられた別の属性力”を感じたノヨ。もしかしたら偵察の為に動かされてたのかもしれネェ』
「出来るの?」
『相手が弱ければいいって訳じゃアないからいろいろ条件が面倒臭イシ、そもそもメリットが殆ど無ぇからやる奴は皆無だガナ』
しかし、面倒臭いそれを態々やったという事は、即ちそうするメリットがあったという事に他ならない。
本人が動けないのか、安全を優先したか、それともまだ準備段階なのか。
(『少なくとも“奴”じゃあネェ。ならソイツは一体何が目的なノカ……単に喰いたいだけってのもあるかも知れねェガ……』)
膨れ上がってく
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ