現れた予兆
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「ねぇ、ラース?」
『奴ではねぇのは明白……ダガ、来るにしたって早過ぎるダロ……!?』
声の音量を変えて行われた二度の問いかけには答えず、焦った様に言葉を紡ぎ続けるラースへと、グラトニーはより大きな声を上げた。
「ラース!」
『……相棒、声上げなくたって聞こえてルゼ、そんで何も言わずに飛び出す準備トケ』
「……え?」
何時になく焦っているラースの声にグラトニーも戸惑い、幼くなっている事も合わさって獣のように視座を曲げ手を前にやった格好を解いて、立ちあがって首を傾げる。
そして、テイルレッドが何とか人込みから抜けだし、時間差のワープによって消えていった、その瞬間――――
バッファローギルディが居た場所から、ぬっと何かが姿を現した。
「! 何アレ……」
『ボサッとすんな相棒!! 早く飛びかカレ!』
「何を―――」
『早くしろオッ!!!』
余りに切羽詰まった声が響き、グラトニーは反射的に空気を噴出させて眼下のコンテスト会場へと突貫した。
そして視界に移る景色には……グラビアアイドルの背後から“喰いつこうとする”化け物の姿が……
「う、らああぁぁっ!!」
「えっ?」
〔ゴギョオオオオッ!?〕
『よッしゃ間一髪ダゼ!!』
何とか喰い付く前に左手で掻っ攫い、投げ付けてコンクリートへ叩きつける。
マジかに見たその化け物は、アルティメギル所属のエレメリアンとはまた違った雰囲気を漂わせていた。
腕だけがいやに肥大化し、腰から下は球体状になっており下半身が無く、腕だけで体を支えているその異形は更に顔の口から上も切断された様に存在しておらず、牙の生えそろい若干突き出た上下両方の顎がより目立つ。
体の色は青味がかった黒色で、腕は鮮やかな柿色という、コレまた一部が目立つ体色となっている。
「あれ? まだエレメリアンが居たのかな?」
「この子って、グラトニー?」
「エメレリアン食べちゃう子でしょ……なんか怖ーい……」
「もう一回テイルレッドちゃんが見れるんだ、ラッキーね!」
「モケーは何処?」
呑気に話し始める彼女達を見て、ラースは恐らくグラトニー……瀧馬の前では初めて見せる『怒り』をみなぎらせて叫んだ。
『相棒! 殴り飛ばしてでもアイツらをどっかいかせやガレ!! カメラマンもだ例外はネェ!!』
「まさか……単純感情種……!?」
『詳しい事は後ダ! 早くしロッ!!』
ここまできて漸くラースの焦っている理由に気が付いたグラトニーは、それでも殴り飛ばす事は出来ないと運ぶ為に考え始めた。
正にその隙を狙ったかの
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