現れた予兆
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……!!」
スワンギルディは目にした。
動作にこそ余裕があふれてはいるが……彼の股間の触手は彼自身の握りつぶさんばかりに力み、震えているのを。
顔で嗤って股間で泣いて……何か名台詞を侮辱された気になるが、そこには戦士の表に出さぬ悲しみがあった。
……本人達がどれだけシリアスでも、やっぱり馬鹿にされた気がするのは拭えない。彼らには本当に悪いのだが。
「悲しくない筈あるまいよ、ましてや本気で笑う事など出来ようものか……他人に厳しく、また自分に厳しくあれ。リヴァイアギルディ様はそういうお方だ」
「……リヴァイア、ギルディ様……」
崇拝していた大将の旧友、彼の奥に秘めた感情を読み取れなかった自分の未熟さに、死湾ギルディはまた悔しさで震える。
……だが、今度は震えっぱなしでは終わらず、拳を握り立ち上がった。
「スパロウギルディ様、ドラグギルディ様が受けた五代究極試練の内一つ、如何か受けさせて頂きたい。一年掛かりますが……完遂して見せましょう」
「なに……スケテイル・アマ・ゾーンをか!? 死ぬぞ! 冗談抜きで死んでしまう!!」
ちょっと前にも解説した、透明な箱に梱包されて自分の頼んだ品が送られてくる、無駄に仰々しさを増そうとして逆に失敗している名前を持つ、しかし精神的羞恥心的には全然洒落にならない試練を、スワンギルディはやり遂げると口にしたのだ。
スパロウギルディが必死に止めるのも否定して、スワンギルディは虚空を見上げた。その顔には……数分前までは無かった、覇気がみなぎっていた。
「あなたの意思は、……私が継ぎます……ドラグギルディ様」
スワンギルディが覚悟を決めたその時と同時。
リヴァイアギルディは故・ドラグギルディの部屋を訪れていた。
死ぬ時は後型も無く消え去ってしまうエレメリアンに、墓標を建てるといった習慣は存在しない。
世界へと変えることを受け入れ散っていく、潔いと言えばそれまでだが、しかし別れが悲しくない訳ではない。
現にMドラグギルディの部屋には手向けのフィギュアやゲームは置いてある……肝心の遺影も墓標も存在していないが、それらが墓標となっているかのようだ。
置いてある供物代わりであるそれらの量は半端では無い。ドラグギルディがどれだけの人望を得ていたか、とてもよく分かる。
積み上げられた科で造られた墓標の頂点、そこにリヴァイアギルディは一つ物を置いた。
それは酒……ではなく花……でもなく―――――おっぱいマウスパッドであった。周りが周りだけに予想はできるが、実際ちょっとガクッときてしまう。彼等は酒の味も鼻の匂いも感じられない
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