第6章 流されて異界
第106話 βエンドルフィン中毒?
[9/9]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
普段はメガネを掛けていない万結も銀のオーバルフレーム……丸みを帯びたフレームを持ったメガネを掛けている為に、雰囲気、及び容姿までもがまるで良く似た姉妹の如き状態。確かに服装に関してはボーイッシュな有希に対して、黒のシャツに白のキャミソールワンピと言う、非常に女の子らしい服装の万結なのですが、二人の発して居る妙に儚げな印象はまったく同じ。
そう言えば、確か二人は同じ師匠に付いた同門とも言うべき間柄。これはある意味、姉妹と言っても過言ではない。それに、確か二人の師匠に当たる玄辰水星は巫蠱を得意として居た仙人ですから、この二人が、料理を得意としていない訳がない。
俺の師匠は残念ながら風水術や招鬼に関しては得意として居ましたが、巫蠱はそれほど得意とはして居ませんでしたから……。
そう考えた刹那!
突如右の耳に発生する激痛。そして、
「何をニヤケタ顔で女の子が料理をしている様子を見ているのよ!」
人生が始まってから十六年経った俺でも、漫画の中の登場人物以外では見た事のない方法……耳を引っ張られて部屋を連れ出される人間と言う経験をさせられる俺。
「おい、こらハルヒ! 耳は引っ張るな! 只でさえ片目は紅いのに、耳まで伸びたらウサギさんみたいになるやろうが!」
アイタタタ、などと口にしながらも、かなり余裕のある台詞を発する俺。もっとも、現実にはある程度加減されているようなので、騒いでいるほどには痛みを感じている訳ではなかったのですが。
……流石に耳まで鍛えていて、少々引っ張られたぐらいではモノともしない、などと言う鉄人、もしくはカンフー映画の達人などでは有りませんから。
「少し引っ張られたぐらいで大げさに騒ぎ過ぎよ。そもそも、あんた、引っ張られている振りをして自分から付いて来ているじゃないの」
顔は見えないけど、声にはかなりはっきりとした呆れの色を付けるハルヒ。但し、不機嫌な色合いは消え、微かな喜の色合いが感じられる。
まぁ、この形なら問題はないか。有希と万結は姉、妹弟子の関係で、共に仙術を学ぶ者。そんなに雰囲気を荒らされる訳じゃない。まして、あの二人が台所に立って居るのならハルヒが無理に割り込もうとする事もないでしょう。
取り敢えず、台所での鍋の下準備は有希と万結に任せて、居間の方に用意されたカセットコンロの方の準備に回ろうか。そんな事を考えながら、ハルヒに耳を引っ張られた状態で敷居を跨いだ時、蒼髪ロングの委員長と視線が合う。
そして、その瞬間、如何にもやれやれだ、と言う雰囲気で彼女は肩を竦めて魅せたのでした。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ