第6章 流されて異界
第106話 βエンドルフィン中毒?
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生み出す。
「これが行き過ぎるとギャンブル依存症に近い症状が現われる事も有るらしいな」
常に新しい出会いを求めるようになる。その刺激が……出会いの刺激がなくなると、直ぐに次の相手を探すようになる。
そう言いながら、ハルヒを見つめる俺。ただ、これは別に深い意味が有る訳ではない。強いて意味を付けるとするのなら、彼女の反応が見たかっただけ。
そして、
「もっとも、ハルヒに関してはそんな心配はないか」
そんな有り触れた……。何処かの三文小説のような出会いから始まるボーイ・ミーツ・ガールの物語とは一番遠い所に居る人間みたいやからな。
最後は妙に皮肉屋の部分が顔を出して仕舞ったが、少なくともハルヒ、そして朝倉涼子の二人を煙に巻く程度の役には立つ内容の台詞を終える俺。
そんな俺を、少しムッとしたかのような瞳で睨み付けるハルヒ。尚、その際に、「何よエラそうに」と、ワザと俺が聞こえるレベルのボリュームで口にした。
しかし、それも一瞬。直ぐに半歩前に進んだ後に、俺の右手を掴み、
「取り敢えず、あんたは邪魔なんだから、仕事をする心算がないのなら、コッチに来て坐っていなさい」
そう言って、自らの方に引き寄せようとするハルヒ。
差して強い力で引っ張られた訳ではない。しかし、ここで無理に反抗的な態度に出ても、何時ぞやの教室の一件のようにしつこく食い下がって来るのがオチ。そして、この場所は食器やその他の品物で溢れているキッチン。ここで目標物しか目に入らない子猫のような行動に出られると、後の被害が莫大な物になる可能性もゼロでは有りません。
ただ、そうかと言って、
「……って、邪魔なのはむしろオマエさんの方でしょうが、ハルヒ」
素直に彼女のしたいように引っ張られながらもそう言う俺。一応、彼女のしたいようにさせているけど、口調だけはやや反抗的なまま。それに解放さえされたのならまた、元の居場所。有希の隣で鍋の準備を始めたら良いだけ、ですから。
しかし――
「何言っているのよ。鍋の準備ならとっくの昔に万結が初めて居るから、あんたが其処にぼぉ〜っとつっ立って居られたら邪魔なの」
元々、俺が立って居た場所を指差しながら、そう言うハルヒ。
その彼女の指の動きに少し遅らせるような感じでゆっくりと視線を移す俺。
その先には……。
既に野菜の処理が終わり、肉や魚介類の処理に移っている有希。何時ものハーフリムのメガネに蛍光灯の光輝が映り込み、少し冷たい光を放つ。
そして、有希が刻んだ野菜を浄水器から出された水で最後の水洗いを行い、それを水きり用のザルへと手早く並べて行く万結。
共に無言。しかし、その手つきはまったく危なげがない。
まるで姉妹の如き息の合った様子。更に、
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