第6章 流されて異界
第106話 βエンドルフィン中毒?
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
同位体の俺が去った後にもずっと自らがこの部屋の完全な支配者とは成らず、俺の気配を残してくれたが故に、俺はこの部屋を我が家と同じような態度で寛いで居られると言う訳です。
しかし、
「今晩のあんたは主賓に成るんだから、その主賓が自分の誕生日の料理を作るのって変じゃないのよ」
何と言うか、非常に珍しい事に、割と真っ当な事を言うハルヒ。
確かにそれは正論。但し、それは彼女が俺の置かれている状態を知らないから言える事。
何故ならば、今の俺の立場は……。
「涼宮さんはまるで新婚家庭のキッチンに踏み込んで仕舞ったような気分に成るから、二人で並んで仕事をするな、……と、そう言いたいんですよね」
……ホスト側。誕生日を祝って貰う主賓で有るのと同時に、この部屋の主の内の一人で有る以上、客を招く側にも当たる。そう考えて居た俺に対して、ハルヒの背後。コタツのあるリビングの方からこちらに顔を出した蒼髪の委員長が、何か微笑ましい光景を目にしたかのような表情をコチラに見せながら、そう言う。
そして、
「それに、まるで二人で揃えたかのような衣装も気に食わないのでしょう?」
……と続けた。
成るほど。確かにボトムの方は俺も、そして有希も共にジーンズ姿。ただ、トップに関して、俺はなんの変哲もない白いポロシャツ。有希はその上に彼女が着るには少し大きいサイズのチェックのセーターを着た状態ですから、別にペアルックと言うほど似通った組み合わせ、……と言う訳では有りません。
彼女の首元から覗く襟が白、と言うトコロから判断しない限りは。
まして、いくらその姿が似合っているからと言って、普段の北高校の冬のセーラー服の上からオーバーサイズのカーデガンを羽織る姿で皆を招き入れる訳にも行きませんから。
ここは有希のプライベート空間。其処で普段から学校指定のセーラー服姿で過ごしていると思われる訳には行かないでしょう。それではいくらなんでも実在感がなさ過ぎます。
「何よ。それじゃあ、まるであたしが有希に焼きもちを焼いているように聞こえるじゃないのよ」
そんな訳ないじゃないの。こんなヤツ相手に。
かなり不満げな雰囲気でそう言い返すハルヒ。ただ、俺が判るのはハルヒが発して居た雰囲気が不満げで有ったと言うだけで、それが焼きもちから発した物なのか、それとも別の……。例えば本当に、今回のパーティの主賓となるべき俺が台所に立って居る事に対する不満なのかは判らないのですが。
ただ――
ただ、彼女や朝倉さんが俺と有希が並んで鍋の準備をしているシーンを見て、まるで新婚家庭に入り込んだように感じた理由については判ります。
この家……この部屋に存在するすべての精霊たちは俺と契約を交わして居て、その契約を間接的に有希に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ