第6章 流されて異界
第106話 βエンドルフィン中毒?
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ら、室内の雰囲気を変えていないのでしょう。
本来の部屋の主人。長門有希と言う少女が……。
普段と同じように動いたか、それとも動いていないのか判らないレベルで首肯く有希。今日に関して言うと少し雰囲気が違った彼女が、この時、ようやく普段の調子を取り戻したかのように感じられた。
☆★☆★☆
「ちょっと。何であんたが当たり前のような顔をして台所に立って居るのよ?」
流しの前に立ち、野菜を洗っている俺の背中に対して投げつけられる言葉。既に窓の向こうは夜の帳が降り、世界は冬と闇が支配する時間へと相を移していた。
棚から取り出した人数分の食器をコタツの上に並べるように万結に頼んだ後に、振り返る俺。
其処には、何故か……と言うか、普段通りの表情の彼女が胸の前で腕を組み、俺を睨み付けている。
不機嫌そうにリズムを刻む指先が左腕の二の腕を叩く度に彼女の長い黒髪を纏めるリボンが揺れ、半歩分前に出した右足も同じようにリズムを刻んで居た。
まぁ、何にしても彼女も通常運転中、と言う事ですか。
「それは簡単な質問。俺は料理が得意やからな」
ハルヒも知っているように、俺に食事を準備してくれる家族は居ないから、自分の食事は自分で準備するしかない。
表面的な一部分のみで正解と成る答えを平然と――何の違和感も与える事なく返す俺。
そもそも、仙人の修業の中には料理。巫蠱に関する修行も含まれる以上、一般的な男子高校生に比べると得意と言っても良いレベルの腕に成るのは当たり前。
ここまでは表向きに説明出来る理由。
そして、ここから先は説明出来ない。もしくは説明しても理解され難い理由。
俺は、俺のテリトリー内に他人が入って来て、その人間の雰囲気に支配される事を嫌う人間です。いや、多分、この資質は人間としての資質と言うよりは、龍としての本能のような物。
更に言うと、この部屋。長門有希と言う名前の少女型人工生命体が暮らして来たマンション内の一室は、人間レベルの所有者は長門有希名義で間違いないのですが、霊的な意味での所有者は違います。
そう、この部屋の霊的な支配者は俺。式神としての長門有希の主人である俺が、この部屋に存在して居る以上、精霊……ここは台所であるので、この場の荒神などの類はすべて俺の支配下にあると言う事。
その場所の精霊を支配する人間が、場の雰囲気を支配する。この形の方が自然で有り、突発的な事件や事故が起き難く成るものですから。
荒神さまと言うのは少々気難しくて祟り易い。特にこの部屋のように霊的な支配権を強く持つ存在が居る場所で、それ以外の人間がウカツな事を行えば……。
尚、俺がこの有希のマンションを我が家だと感じて落ち着いて居られる理由もコレ。有希が異世界
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