第6章 流されて異界
第106話 βエンドルフィン中毒?
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物でした。
もっとも、それだけならば別に問題はなかったのですが……。
「せやけど、いくら学校から一番近くて、更に一人暮らしだから便利だと言っても……」
有希のマンションでやらなくても良いのでは……。
人参は冷蔵庫に新聞紙で包んだ物が有るから、その上にわざわざ買い足す必要はないか、などと妙に所帯じみた事を考えながら、青い物。春菊やネギなどの並べられた場所に向かい進む俺。
尚、今までの試験や文化祭などの打ち上げの内の何度かは、有希のマンションで行って来たらしい。確かに立地条件やその他……。長門有希に対して水晶宮が用意したマンションと言うのが、かなり高級な部類のマンションに成るようなので、間取りも豪華なら防音なども完璧。更に一人暮らしと言う事は、他に家族がいないと言う事。つまり、他の家族に気兼ねしながら宴会を行う必要もない。
これだけ好条件が揃った場所と言うのも早々ない、と言うのは判りますが……。
しかし、今回に限っては別の場所でやって貰いたかった。
俺と言う居候が存在している現状では。
ネギ――。万能ネギなどではなく、白ネギと呼ばれるネギと春菊。後は……。
目的の品を指折り数えてから視線を上げる俺。其処には色々な種類の練り物が並ぶ棚が。其処から無作為に選んだ、一本九十七円のかまぼこを買い物籠へと投入。そうして、一玉十七円のうどんが積み上げている場所に視線を移す。
「問題ない」
何時の間にか主客が逆転。俺の方が先に立ってカートを押し、その後ろをゆっくりと付いて来ていた有希が、先ほどと同じ台詞を口にした。
そんな彼女の声を背中に聞きながら、練り物の並んだスーパーの陳列用の冷蔵庫のある場所から直角に折れ曲がり、見るとはなしに漬物の並んだ冷蔵庫に目をやる俺。
そうして、其処に並ぶ赤い、臭いのキツイ漬物を左目に映して、キムチ鍋はないよな。……などと自分の好み優先の献立を頭の中で組み立てて見る。
正に平和な午後の買い物風景。俺、そして、有希も学校帰りに直接ここへと立ち寄った為に、共に学生服姿であるトコロから、他の買い物客から見ると、彼女の表情に妙な違和感のような物を覚えさせる可能性は有るけど、それでも四捨五入して高校生同士のカップルに見える事が間違いなしの状況。
もっとも、所詮は有り触れたスーパーで偶々すれ違うだけの相手。そんなに深く記憶に止め置かれる訳などなく、すれ違った次の瞬間には忘れ去られる可能性の高い刹那の邂逅。
僅かな空白。店内に流れる聞き慣れた音楽のみが二人の空間を支配する。
「情報操作は得意」
俺が答えを返さないのに焦れた……訳ではなく、何と言うか妙に上機嫌で言葉を続ける有希。
声に華やいだ雰囲気が混じる訳でもない。ましてや店内に流れる音楽に合
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