暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第106話 βエンドルフィン中毒?
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 繰り返されるお決まりのミュージック。この全国チェーンの大手スーパーに入店する度に嫌と言うほど聞かされる音楽を右から左へと聞き流しながら、入り口にほど近い野菜売り場から流し始める俺。
 入り口に一番近い辺り……向かって右側の壁辺りに存在している産直のコーナーを横目に、入り口正面に堂々と並ぶ本日の特価。一本八十五円の大根の前で足を止める。

 しかし――

「不要」

 既に俺を置いて、その向こう側の棚の方向へと歩みを進める紫の髪の毛の少女が、非常に短い言葉でそう告げて来る。
 彼女の目的はふたつ目の棚に並べられたキノコの類。マイタケとシメジをひとつずつ手に取り、俺の押すカートに無言で放り込んだ。双方七十八円也。

 しかし……、成るほどね。
 そんな、少しぶっきらぼうとも見える彼女の仕草を見て、もっともらしく首肯いて見せる俺。

 他の買い物客から見ると今の彼女はまるで怒って居るように見えるかも知れないな。そう考えた後、思わず少しの笑みを浮かべる。何故なら、今の彼女が放って居る気は不機嫌とはまったく逆の雰囲気。間違いなく上機嫌に分類される状態だと言う事が、この場で俺だけが気付いて居るのですから。

 スーパーの入り口に差し込んで来る陽の光は未だ明るい午後の浅い時間の光。昼食の時間帯とするなら遅すぎ、そうかと言って夕食の買い物と言うには未だ少し早い時間帯の為、普段と比べるとやや少ない目の買い物客がまばらに存在するだけの店内。
 十二月六日。今日の午前中のみで二学期末の試験が終わり、現在は遅い昼飯と、夕食用の買い出しの最中の俺と有希。
 尚、試験に関しては滞りなく終わり、俺の記憶力に誤りがなければかなり高い結果を残す事となったでしょう。

 もっとも、ほぼズバリの試験問題を直前に解いて、その間違った部分を徹底的に教え込まれるなどと言う試験勉強を行えば、余程のマヌケでない限り赤点など取る訳はないのですが。

 ただ……。

「本当に良かったのか、有希?」

 キノコ類の並んだ棚の裏側から白菜をまるごとひとつ。一玉四百九十八円也の大玉を無造作に手に取り、そのままカートの買い物籠の隅に置く。
 矢張り基本はコレでしょう。

「問題ない」

 既に一丁四十八円の木綿豆腐をふたつ手にした有希が、普段通りの妙に透明な表情でそう答えた。
 但し、普段の存在感が薄い――妙に儚げな印象の彼女も、こう言う場所……。日常と正常な理が支配するスーパーの生鮮食料品売り場ではその儚げな印象が薄れ、ごく普通の少女のように感じるから不思議なものである。

 そう、あの日。試験初日……十二月四日の放課後にハルヒが言い出したのは、試験後の十二月六日に学期末試験の打ち上げ及び、新しい団員……つまり俺の誕生会を兼ねたパーティを行うと言う
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