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横浜事変-the mixing black&white-
逆転不能なときでも、一時の救世主くらいなら助けに来てくれる
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は暁ケンジの先輩であり、赤島達と同じ組織に属する殺し屋の玉木鈴奈だった。普段はほとんど関わりのないチームなので、赤島も『こいつらの姿見るの久しぶりだなあ』と感慨深げに感じてしまった。
「ハハッ、ここで来たかチームD!一体誰がスクランブル出動のお前らを出したんだ?」
大河内は楽しそうな声色とは裏腹に若干苛立ったように言葉を放った。それに対して、チームDのリーダーも嬉々とした表情を浮かべ、嘲りの言葉を吐き出した。
「局長のクソジジイに決まってんじゃん。ていうかアンタ何で敵役に回ってるわけ?そんなに目立ちたいなら政治家になって汚職で捕まれバァァァカ!」
それまで緊迫していた筈の空気が、彼女の発言によってさらに混沌と化していく。だが、その中で大河内は少しだけ当惑したような顔を浮かべていた。
――ん?なんだあいつ。
赤島はすぐに彼の微動を察知するが、その真意は読み取れなかった。何故なら大河内の顔はすぐに元の悪意丸出しの笑顔に戻ったからだ。
「もう話は終わりにしよう。俺は計画を壊されるのが嫌いなんでね、とっとと終わらせることにするよ」
そう言って左腕をユラリと虚空に向かって上げる大河内。それに反応したのはヘヴンヴォイスと裂綿隊で、赤島は瞬時に糸が張り詰めたような感覚を覚えた。
そのとき彼らの先にいるチームDの鈴奈が赤島に呼び掛けてきた。
「赤島さんとオバサンは後ろ下がってなよ。怪我してんでしょ?その分はホージョーとか後輩がやってくれるからさ」
その言葉に何かしら返そうとした赤島だが、それより前に大河内が言葉を吐き出した。
「お喋りはそこまでだ。ここからは徹底的な殺し合いの始まりなんだからさあ」
*****
組織の裏切り者が左腕を真下に下ろした瞬間、街の闇を作り上げる分子たちの潰し合いが始まった。
一方が殺意を持って襲えば、もう一方もそれに応答する。そうして命のキャッチボールはどちらかが尽きるまで果てしなく続く。
ただ一つ、彼らには共通点があった。それはどちらの勢力も『誰か』の掌の上で転がされているという事実だ。
その『誰か』は、今も思惑通りに進む現実を顔色一つ変えずにモニターで監視しているだろう。全てを自分色に染め上げ、過度な丸め方で何もかもを終わらせる。その先に待つのは殺し屋達と同じ未来だ。
横浜の裏住人達が住む世界は、何者かによる道連れ行為によって崩れようとしていた。
助けは来ない。何故なら、彼らはこの世の習わしに反した種族の人間達であり、存在を許してはいけない奴らだからだ。
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