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横浜事変-the mixing black&white-
舞台を色鮮やかにするならば、裏方の存在は不可欠だ
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出していた。
今では古参の殺し屋は赤島と宮条くらいで、他は街で力を持て余していた個人営業の同業者だ。彼らを吸収し、仕事で死ねば他の人間を用意する。簡単なサイクルだ。とはいえ、殺し屋統括情報局を快く思っていない殺し屋がいるのは確かで、彼らの理念に賛同しない者は当然いた。そうした殺し屋の多くは暴力団に雇われる事となった。
しかし組織に属するのとそうでないのではクマとアリのような差がある。
それは『情報力』だ。彼の築いたネットワークは、蜘蛛さながらの綿密さで街を覆っている。人間関係が根本だが、最近では公式のインターネットも情報供給の一部として糸を巻き付けている。その結果、殺し屋統括情報局は横浜最大の裏組織にまで成長し、現に外国の武器商社にまで名を届かせた。圧倒的な情報量は警察やインターネットの監視網などを掻い潜り、殺し屋社会を再び繁栄させる事が出来た。彼の望んだ未来は完成したのだ。
***
だが、彼はこのたびそれを破滅の道へと追いやる事にした。殺し屋や暴力団などの反社会勢力に嫌気が差したわけではない。そうであったならもっと早く計画を立てて、殺し屋統括情報局の殺し屋達を完璧に殺せた筈だ。
――武器商社の社長の方は問題ない。あとは彼らとのタイミングを合わせなければ……。
局長の目が左横のモニターに移動する。そこにはくねくねした一本道を全体的に見渡した画面があり、チームBとCの殺し屋達の他に、ヘヴンヴォイスと裂綿隊が互いに顔を見合わせられる位置にいた。
「……そろそろ阿久津君達を動かすか。大河内君には悪いがね」
口から紡がれる言葉は一見すると感情が混じっているようだが、実際はただ計画を果たすという意志しか感じられない。局長は少し考えるように顔を俯けた後、ポケットから携帯を取り出した。ブラウンのガラパゴス携帯だ。
軽快な手つきで電話番号を打ち込んで耳に押し当てる。やがて聞こえてきた気だるげで苛立ちの混じった女の声に、初老の男の声が電話相手と暗い部屋の中に響き渡る。
「仕事だよ」
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