第八話。蜘蛛タンク
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放課後になり、従来は閉鎖されている為人が入れない屋上に俺と一之江は来ていた。
高い網のフェンスに囲まれた屋上は現在、手入れする人がいないとの理由から閉鎖されている場所だ。
もっとも、出入り口の鍵は壊れているから、誰でも入れるのだが……。
高いフェンスの他にはコンクリートの床がそのまま広がっているだけの、無機質な屋上。
目立つ物と言えば、貯水タンクが入り口の上に設置してあるだけの場所だ。
そんな人がいない場所に二人っきりでやって来たのには訳がある。
『ロア』や『ハーフロア』についてもっと詳しく話しを聞く為だ。
「こんな所に呼び出して、どうするつもりですか?」
屋上に着くや否や、目の前の少女。一之江瑞江は開口一番にそう切り出した。
「心配いらないよ。ちょっと君と二人でお話しをしたかっただけだからね」
ヒステリアモードの俺の口から普段の俺からは考えられないくらい甘い声でそんな言葉を口にしていた。
「ちょっと言ってみただけです」
一之江は悪びれた様子もなくさらりと告げて。
「さて……結局貴方の疑いが晴れたのは確かですが、貴方は危険なので私がしばらくの間監視する事にしました」
「俺が、危険?」
まだ俺に疑いを持っているのか?
「狼的な意味ではありませんよ。あ、そちらの方も心配といえば心配ですが」
「大丈夫だよ。女性が嫌がる事はしないからね」
「……やっぱり心配ですね。
貴方は真性の馬鹿ですから」
「いやいや、それは誤解だよ、一之江」
「呼び捨てになりましたね」
「瑞江、って呼ぶには早いだろう?」
「別に呼ばれてもなんとも思いませんけどね、どうせ偽名ですから」
「そうなのか?」
「何処ぞの駅名から取りました」
「安直だね」
「駅名を作った人に失礼かもしれませんよ」
そうかもしれない、と思っていると一之江は風に吹かれて乱れた制服や髪を整えながら「さて話を戻しますが」と前置きをしてから本題を切り出した。
「モンジはなんせ『主人公』ですからね。どんな能力を持っているのか解らないっていうのもあります。
ですが、いろんなロアに狙われ易いという方が強い理由ですね」
『主人公』という存在がどれほどの力を持った存在なのかは解らないが、どうやら他のロアから狙われ易いという事は先ほど一之江から説明された為理解できる。
「そうなのか?自分だと実感がないのだけど」
「成長すれば色々出来るようになるでしょう。今は私を切り抜けただけですが」
一之江は『私を切り抜けただけ』と言っているがはっきり言って一之江を切り抜けられたのは偶然が重なっただけだ。
一つでも偶然が起きなかったら俺は此処にはいなかった。
一之江の電
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