コヨミフェイル
006
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「どうって、後ろめたいに決まってるだろ。だけど、それと告白することは別だ」
「いや、別に責めてるわけではありませんよ、阿良々木先輩。まあ、確かに後ろめたさから逃れるために告白するのは見当違いも甚だしいですけどね」
私もそういうことは嫌いですしね。
と、さほど嫌でもなさそうに扇ちゃんは言った。
「隠していられるようなことじゃないことは十分わかっているつもりさ」
「でも、いつまで隠すつもりなんですかね、阿良々木先輩」
「いつまでって、あいつらが大人になるまでさ」
「大人……ですか。ところで、いつから子供は大人になるんでしょうね」
ニヤニヤしながら扇ちゃんが言う。
「自分で自分のことができるような奴を言うんじゃねえのか」
例えば、羽川と戦場ヶ原だ。家庭の事情で家事は一通りできるだろうし、家事以外でもなんでも無難に熟しそうだ。それに加えて頭脳明晰なのだから向かうところ敵無しだろう。
「つまり、独り立ちができるときですか」
「そいうことになるな。あいつらのことだからずいぶん先の話になるかもな」
あいつらが大人になったときの姿が全然思い浮かばないし。
「そうですか。では、阿良々木先輩はご両親には打ち明けているのですか?」
「ん?してねえよ」
扇ちゃんは何が言いたいんだ?
「ですよね」
「で、それがどうしたんだよ?」
「いや〜何故御両親には打ち明けないんのかなっと少し思っただけです。もしかして御両親も阿良々木先輩から見て子供なんですかね?」
「子供とは思ってねえよ。ただ……」
鋭いところを突いてくると、思う僕はやはり後ろ暗いものを持っているのだろうか。しかし、本当になぜ打ち明けてないんだろうか?
「あいつらに打ち明けてねえのに親にだけ打ち明けるのもなって」
ということだろうか?
扇ちゃんはふむふむと腕を組んで頷いていた。どこか思った通りの返事が得られたようなそんな仕種だった。
「阿良々木先輩は妹さん達を子供扱いする割には大人の御両親と平等に扱っている。矛盾してません?」
「あっ…………」
この瞬間僕は知らぬ間に落とし穴に追い込まれていたと感じた。勝手に僕が思い込んでいるだけだろう。扇ちゃんが僕を追い詰めることはしないだろうし、そうであったとして扇ちゃんに何の得があるのだろうか。
だからこれは僕の思い込み、被害妄想だろう。
そう、そして続けて口にした言葉もまたあくまで扇ちゃんのちょっとした軽い気持ちで言ったことだろう。
「もしかして、妹が大人になるまでというのは建前で本音は別にあるのではないのですか?」
例えば、最高の理解者である家族に真実を明かして、拒絶されることを恐れているからということとか。
と、一層ニヤニヤして言うが早いか、
「おっと、
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