コヨミフェイル
006
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を知るや戦場ヶ原はぷいと横を向いた。
いきなり、仲が険悪になってしまった。どうも反りが合わないらしい。忍野が嫌いだからわからなくもないけど。
「妹さん達は元気ですか?」
そんな戦場ヶ原を気に留めている様子もなく、扇ちゃんは訊いてきた。
「ああ、手がつけられないほどにな」
「それは良かったです」
「よくねえよ。毎朝死ぬような思いをさせられてんだぜ?」
「それはそれは、お元気なことで」
お元気なことというか血の気が多いことでの間違いだろう。
「戦場ヶ原さんも羨ましいんじゃないですか〜?」
と、今度は出し抜けに戦場ヶ原に話しを振った。何故見るからに不機嫌な戦場ヶ原に話しを振るんだろうか。無視されるのが関の山だろう。状況がより悪ければ、キレるのではないか?
「羨ましいわ、あんなにも素直な妹がいて」
しかし、戦場ヶ原意外にも意に介さず、涼し気に答えた。こっちには向かないけれど。
「だけど、そんな妹が私の義妹になるのだから嬉して待ちきれないわ」
完全に当てこすりだった。涼し気でも怒っているのは確かみたいだ。
まあ、結構仲良くやっているから本心は本心なのだろうけど、唐突に結婚が関わることを言われると、チキンな僕は少し困惑してしまう。もちろん結婚はするつもりだけど、なんか尻込みしてしまう。
「ヒューヒュー、お二人ともお熱いことで」
囃し立てる割にはどこかどうでもいいといった感じである。
「…………」
それを歯牙にも掛けない戦場ヶ原。
「で、二人がどうかしたのか?」
不気味に戦場ヶ原が黙り込んだので、間を持たすためと戦場ヶ原にこれ以上話させないために割り込むように言った。
「いや、阿良々木先輩はご自身の体の秘密を妹さんにまだ告白していないのかなあとふと思っただけです」
僕の体の秘密。吸血鬼化に伴う異常な治癒能力と身体能力。
それはまだ妹達には言っていない。言ったところで混乱させるだけだ。あの二人が混乱したらどんな結果に至るのか考えるだけで面倒だし、いらぬ心配をさせたくない。
だけど、隠しおおせるとは思っていない。僕の吸血鬼性は家族に隠しおおせるほどのことだとは思っていない。いつかは必ずばれる。それは月火も同じなのだ。
だから、機を見て月火のことも含めて打ち明けるつもりではいる。
ただ今がまだそのときじゃないというだけのことだ。
「いや、まだだけど」
「そうですか。ところで、家族に隠し事をしているという気分はどうですか?」
「………………」
扇ちゃんはそんなつもりはないのだろうけれど、責められているように感じる。確かこのことについて八九寺に相談したことがあったっけ。
こうして見ると、僕も色々な人に支えられているのだなと思う。
不意にそう思う。
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