コヨミフェイル
005
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なら悶え苦しむような言葉が発せられる日がこようとは思わなかったが、それはそれとして、戦場ヶ原は先生に見られる可能性を考えていないと思えるぐらい躊躇なくポケットから携帯を取り出し、開いた。少しの間操作して戦場ヶ原は固まった。戦場ヶ原の周りだけ時間の流れが止まったかのようである。戦場ヶ原は身持ちの堅さを体現するように携帯の画面にのぞき見防止のステッカーを張っていて、僕はそのメールの内容を見ることはできなかった。
「阿良々木くん、これ……」
しばらくして戦場ヶ原が僕の目の前に携帯の画面を突き出した。
『from・羽川/subject・神原さんについて/text・拝啓 残暑の候、時下ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。常々多大なご厚情を賜り、感謝にたえません。先程は責めるような口調だったこと、加えて唐突にメールを差し上げたこと、何とぞお許しください。神原さんが凌辱されているただならぬ気配を察し、唐突にメールを差し上げた次第です。
つきましては、神原さんを凌辱した委細は近く、拝顔のうえお聞きしたく存じます。まことに身勝手なことのみ申し述べましたこと、何とぞお許しください。
なお、今後ともよろしくご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
まずは、取り急ぎお願いまで申し上げます。
草々』
「おすわりをやめろ、神原!!」
読み終わるが早いか僕は叫んだ。とき既に遅しだが。
「わん」
やっとのことで神原はベンチに腰を下ろし、人間らしい姿勢になった。
「どうしよう」
戦場ヶ原は顔面蒼白だった。まるで首を切られたサラリーマンのようにうなだれていた。
そう言えば、戦場ヶ原は僕を監禁して羽川に怒られたことがあったけど、あのとき戦場ヶ原は五時間へこんでいたらしい。羽川が極度に苦手のようだ。何故これほどまでに苦手になったのかはいまいちわからないけれど。
「まあ、謝れば済む話だろ。羽川だって反省している人を怒るような分別のない人ではないだろうし」
「そう、よね。そうに違いないわ」
と、戦場ヶ原が持ち直して事が一段落したところを見計らって神原が口を開いた。
「阿良々木先輩もご一緒でしたか。ふふっ、妬けますね」
「僕の方が恥ずかしさで燃え上がりそうなんだよ!」
僕の羞恥心を鍛える奴は妹だけでいいんだよ!
「で、私は何をすればいいのだ?脱げばいいのか?」
「何かにつけて脱ごうとするな!それと僕にもう変態的な発言をさせないでくれ!」
これ以上僕の学校での居場所を奪わないでくれ!
留年どころか退学させられるかもしれないだろ!
「何を言う、阿良々木先輩。神に等しい、いや以上の存在の阿良々木先輩がそのようなことを言うとは。ああ、私から脱ぐことを取ったら何が残るというのだ!」
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