コヨミフェイル
005
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無情にも避けられたにも拘わらず、次の瞬間にはめげずに再び襲い掛かっている。伊達に一人で弱小チームを全国大会に導いたわけでも、戦場ヶ原の毒舌や罵倒と普段から浴びているわけではないと再認識させられる。
だがしかし、戦場ヶ原はそれを上回っていた――勿論立直りの早さでではない。
頭の回転でだ。
戦場ヶ原は又しても先読みしていたかの如く身を屈めてよけた。そして、再び神原が地面について追撃を加える前に戦場ヶ原は呟いた。
「おすわり」
「わん」
神原は着地したと同時に戦場ヶ原に向き直って犬のように――というよりかはおすわりのつもりなのだろうが、僕には両手を地面につけてうんこ座りしているようにしか見えないのだが――おすわりした。
見事な早業なのだが、これは決して公衆の面前でさせることではない――ましてや学校のスターにだ。
ていうか、僕から見てスカートの中が丸見えだった。勿論スパッツをはいているから下着は見えないのだが、この恰好は女子としてはいただけない。最悪だ。
「戦場ヶ原、もうよせ。神原に公衆の面前でそんな恰好をさせて羽川が黙っていないぞ!」
と言うと、びくっ!!と戦場ヶ原は肩を震わせた。効果抜群のようだった。
「神原、私のそばに座りなさい」
「わん」
しかし、戦場ヶ原の意図が伝わらなかったのか、神原は戦場ヶ原のそば、詳しく言うと戦場ヶ原と僕の間ででおすわりした。
僕と戦場ヶ原の間に割り込んだことは僕の御寛大の心で許すとして(開けていた方が悪いしな)、神原はいまだにおすわりをしていた。しかもベンチの上でだ。衆目にスカートの中を見せびらかすような形になってしまっていた。
どんな羞恥プレイなんだよ!
「おい、神――」
そんな神原の愚行を正そうと、神原の名を呼ぼうとしたそのときだった。小気味のいい短い着メロが戦場ヶ原のポケットから聞こえた。メールが届いたようだった―送信元は火を見るより明らかだ。
その場が水を打ったように静まり返った。
神原だけがこの事態の深刻さに気付いてなく、小首を傾げている。
おもむろに戦場ヶ原が救いを求めるように僕を見つめた。その表情は今までに見たこともないほどに悲壮感を漂わせていた。あの鉄仮面を装着しているときを思うと、その落差にいたたまれなくなった。
「見るんだ、戦場ヶ原」
しかし、そんな戦場ヶ原に僕は慰めの言葉をかけられない。ここで逃がせば、後に何があるのかわかったものではないことは戦場ヶ原の反応がありありと物語っていた。
だって僕に指図されても暴力を振るってこないところとかは完全にテンパってる証だ。
「でも……」
「でもも、だけどもない。早くしないと、後が怖いぞ」
「うん」
まさか戦場ヶ原の毒舌製造機の口から「うん」といういかにも一部のマニア
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