コヨミフェイル
005
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「もしもし。戦場ヶ原よ」
入れていた。
「まだアドレス帳を使っていないのかしら?まあ、それについては今はいいわ。そう、急いでいるの。すぐに来てくれるかしら。場所は中庭よ。うん、わかったわ。ところで神原は阿良々木くんのエロ奴隷である前に私の犬なのだからね、忘れてないでしょうね?うん、そう。じゃあ、待っているわ」
と、言って戦場ヶ原は電話を切った。
「最後のは聞き捨てならなかったぞ!!」
電話の相手が神原だとはすぐにわかったが、神原が僕のエロ奴隷であることも、戦場ヶ原の犬であることもわからなかった。
「本当にうるさいわね。黙るということを知らないのかしらこのゴミは」
吐き捨てるように言われた。
……うん、何かもう慣れた。慣れてはいけないのだろうけれど、戦場ヶ原に罵倒されることがいつもの風景と化していて気にならなくなった。
「それに事実を言ったまでじゃない。何がおかしいというの?」
「神原が戦場ヶ原の後輩であって欲しいが、百歩譲って犬であるとしても、僕のエロ奴隷では決してない!」
「よくそんなことを大声で言えるわね。尊敬しそうだわ」
はっとして見回したが、完全に衆目の的だった。赤面して俯く。これで僕の変態という位置付けが揺るがぬものになったのだろうか。
もう僕に居場所がなくなったのではないだろうか。
「ごめん。もう教室に戻っていいか?食欲が失せてしまった」
「許すとでも思う」
「だよな」
彼氏が傷心してもお構い無しの戦場ヶ原だった。
「それに神原ももう来てるのよ」
戦場ヶ原の指差した方を見ると、こちらに猛然と突っ込んでくる神原が目に入った。戦場ヶ原が電話を切ってからものの数十秒しか経っていないはずで、近くにいなければ叩き出せないようなタイムだ。
だけど、すぐに神原の速度が一般人の出せるそれを優に越えるものだとわかったときには合点がいった。
ていうか、自動車ぐらいスピード出てないか?
「戦場ヶ原先ぱぁーーーーい」
神原がそんな勢いを殺さずに戦場ヶ原に飛び掛かった。いや、襲い掛かったという方が正しい。
体を目一杯広げて、大の字になって覆いかぶさるように戦場ヶ原に襲い掛かったのだ。
さながらプロレスラーがリングの角のポールから倒れている相手に攻撃を加えるようにである。
しかし、それを戦場ヶ原はまるで先読みしていたかの如く、難無く体を横に倒してよけた。それで神原が地面に打ち付けられることになることをまったく気にしていないようだった。
案の定神原はベンチを飛び越えて地面にヘッドスライディングをする――寸前で両手を地面につき、前転して勢いを殺した。
と、思った次の瞬間には振り返って再び戦場ヶ原に襲い掛かっていた。
驚き入るばかりの機動力と立直りの早さである。
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