コヨミフェイル
005
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三言で住む内容のようだった。
しかし、そのとき戦場ヶ原の表情が固まった。顔は青ざめていて、まるで初めてお化けと遭遇したような顔をしていた。
「座っていいわよ、阿保良木くん」
「……はいはい」
羽川が顔を離した瞬間に暴言が降り懸かってきた。
つい先程まで彼氏に公衆………というよりかは学徒の面前で土下座をさせようとして叱られた人の言動じゃない。
だけど、いちいち付き合っていたら吸血鬼の不死力をもってしても老衰するから、するといけないから敢えてため息だけついて触れずに流す。
「誰がベンチに座っていいって言ったのかしら?阿・保・良木くんには地面がお似合いよ」
完全に八つ当たりだった。戦場ヶ原製の純粋百パーセント悪意の八つ当たりだった。
流されたことにご立腹して阿保の部分を強調しやがった。
「戦場ヶ原さん」
羽川は少し怒ったのか、威圧的に言った。
戦場ヶ原萎縮。
ちょっとした憂さ晴らしになった。
というか、羽川にどんな弱みを握られてんだ、こいつ。
心臓を握られてるのか?
「じゃあ。私はここで失礼するね。二人のときはいいけど、他の人がいるときはあまり行き過ぎないように気をつけること。いい?」
羽川は戦場ヶ原に釘をさしてから校舎に戻っていった。戦場ヶ原をいたいけな僕の元に残して。
「勘違いしないでよ。本当に間違えて二つ作っただけなんだから」
と、平淡な口調で言って、戦場ヶ原は僕の太股の上に弁当を置いた。
「あ、ああ」
折角の戦場ヶ原の純ツンデレに対し、間の抜けた返事になってしまった。
いや、なるほどこの上なく可愛いのだが、てっきり更に毒づいてくると思い込んでいた僕にとっては戦場ヶ原のそれはあまりにも拍子抜けで肩透かしだった。
「だけど、よく味わって食べないと……殺すわよ」
やはりただのツンデレでは済まさないようだ。
「ガハラさんが作ってきた弁当をよく味わって食べないわけがないだろう。それがたとえ僕のためではなくともだ」
これは照れさせて一矢報おうと言ったことだが、
「あらそう」
と、戦場ヶ原はそっけなく頷いて
「一口……いや、違うわね。一噛みにつき三千六百秒かけるのね。つまり、一時間よ」
と言った。
「食べ終わる頃には日が暮れてるわ!」
全く効果がないようだった。
一矢報いようとすること自体不遜な考えだったようだ。
「なら、一噛みに画鋲」
「普通に怖いわ!食べ終わった頃には画鋲に埋め尽くされてるわ!」
さっきの回りくどい言い方はこれを言うための伏線だったのか。
……ったく。
これでは彼女の弁当を落ち着いて食べることもできない。
「開けるぞ」
「だめよ」
弁当に手を伸ばしたところで戦場ヶ原に手首を握られて止められ
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