コヨミフェイル
005
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何故か涙目で言われた。
それで神原を猫っ可愛がりしている戦場ヶ原からの無言の圧力を掛けられている。
しかし、涙目にさせた内容が内容だから、罪悪感をあまり抱けなかった。というか、逆に引いていた。
「いや、あるだろ!その人間離れした運動神経とか、竹を割ったような性格とか」
「そんなものは脱ぐことの副産物でしかない」
「製造過程がわからねえ!どうしたら脱ぐことを生産して運動神経とか性格が形成されるんだよ!」
お前を構成しているものは一体何なんだ!ダークマターの類なのか!
「まさか阿良々木先輩がこうも間違えるとは、天変地異の予兆か?私を構成しているものは脱ぐこと90%、着ること10%だぞ」
「だぞって、ほとんど裸じゃねえか!」
ていうか、人間離れした運動神経とか、竹を割ったような性格はどこにいった!
「さすがは阿良々木先輩だ。並々ならぬ洞察力には感嘆の意を表明せざるを得ないな」
長い前置きを置いて
「確かにそうとも言うのかもしれない」
と、言った。
「そうとしか言わねえよ!」
このままだとすぐに昼休みが終わりそうな勢いだったが、僕は完全に戦場ヶ原の弁当のことを失念して戯れに興じていた。
「御戯れの最中で大変申し訳ないのだけれど」
と、戦場ヶ原が言って僕の足を踵で思い切り踏み付けていなかったらどちらの弁当も食べ損ねていただろう。
だから踏み付けられた足が悶絶するほどに痛くても、我慢我慢。
「神原には弁当を食べてほしくて呼んだのよ。決してゴミの相手をしてほしくて呼んだのではないわ」
「べ、弁当とおっしゃったか、戦場ヶ原先輩!?」
弁当という言葉にハイになって多分僕を罵倒している後半部を聞き流したのであろう神原は僕に目もくれず、戦場ヶ原の両肩を掴んで向かい合っていた。
神原の顔は真剣そのものだった。今までにないほどに真剣な顔だった。シリアスパートでいまいちシリアスになれなかった神原が何故か弁当というワードにシリアスモードになっていた。
本当に掴み所のないキャラだな、神原。
「そうよ」
戦場ヶ原はその気迫に気圧されているようすもなく平坦に言った。
「ああ、何という幸運なのだろうか。戦場ヶ原先輩の手づくり弁当が食べられる日が来るなんて」
と、言う神原の頬を一筋の涙が伝った。
「私の弁当だけではないわよ。阿良々木くんのお母さんが作った弁当も食べるのよ」
「阿良々木先輩の母上も食べてよいのか!?」
「食べてよいわけねえだろ!」
神原の顔には不気味に歪んだ笑みがはりついていた。余りにも嬉しい出来事に行き当たると人間はどう反応すればいいのかわからなくなるというが、これが好例と言えるだろう。
「落ち着け。その様子だと一人で全部食べ兼ねないぞ」
神原は完
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