コヨミフェイル
005
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ポジティブシンキングにもほどがあるだろ!
「それにいい彼氏もいるわ」
「『使い勝手が』いい彼氏だろ」
不意に拗ねた言い方になった。それが、戦場ヶ原にも伝わったのか、
「ふふっ。違うわよ、阿良々木くん。臍を曲げなくてもいいのよ」
と、微笑みを浮かべて嬉しそうに言った。
不意にドキッとする。
戦場ヶ原の微笑みは予想外に可愛いのだ。言葉が安っぽいが、こう表現するしかない。
滅多に見せないからということもあるのだろうが、そこには普段の戦場ヶ原からは想像でいないような優しさが讃えられている。見ていると、そこはかとなく面映ゆくなる。
「阿良々木くんは人が好い彼氏よ」
「それは褒めているのかいないのかいまいちわからないな」
「褒めているのよ、喜びなさい」
「最後の一言がなければ素直に喜べるのだが」
まあ、だけど、そう言われるのは嬉しくないわけでもない。
ていうか、嬉しい。
「だから、どこの馬の骨とも知れない女に付け込まれないか監視しなければならないことと馬鹿だということが短所なのだけれど、それはさておき」
と、聞き捨てならない言葉を残して戦場ヶ原はさっさと本題に入った。
「愚かにも私は弁当を間違えて二つ作ってしまったのだけれど、非常に困ったことに私に弁当を二つ食べるだけの胃のキャパシティーはないわ」
どんな間違いだよ。
おっちょこちょいにもほどがある。
「だから不本意極まりないのだけれど、生き恥をかかされるような気分だけれど、もし阿良々木くんに自分のを含めて弁当を二つ食べれるような胃のキャパシティーが備わっているのならば、私の手づくり弁当を命と引き換えにでも食べたいと恥部を晒しながら土下座をするのならば、考えてあげてもいいのよ」
「なぜ僕は彼女の手づくり弁当を食べることだけのために校内で公然猥褻罪に当たる行為に及ばないといけないんだっ!」
…………ここまで来るとツンデレでも、ツンドラでもない。ただの性格の悪い高校生女子だ。
彼女の初めての弁当を食べさせてもらうというイベントがこれほどまでに過酷なものとは寡聞にして知らなかった。
弁当を二つ持っていたことには勿論気付いていたが、敢えて触れずに戦場ヶ原からそのことを切り出してくるの待っていたらこれだ。
てっきり初デートの誘いの時みたく、しどろもどろと弁当を食べてくれるように頼んでくると思っていた。
私の作ってきた弁当を……食べていただけませんか?………弁当を食べてはどうな……です……―みたいに。
だが、そんな期待を木っ端微塵に破壊してくれるのが他ならぬ戦場ヶ原ひたぎである。
多分これは期待を裏切られたことに対する報復なのだろう。
「だけど、そんな可哀相な阿良々木くんには幸運にも私の弁当にありつける方法がもう
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