暁 〜小説投稿サイト〜
その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり4
[10/18]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
議室で机に頬杖をつきながら呻いていた。ちなみに同席しているのは、なのは、リブロム、ユーノ、テスタロッサ一家と、ハラオウン一家、あとは何とかいう女局員だった。
「仕方ないでしょう? 次元断層の影響で安全な航行ができないんだから」
 あの石ころ最後までロクな事をしない。やはり『何でも願いを叶える』代物は俺にとって天魔か何かに違いなかった。折角だから一つくらい貰っておこうかとも思ったが、この分ならやめておいた方がよさそうだ。余計な面倒ごとは避けるに限る。
「それは分かった。だが、何で俺がお前らと仲良くお話ししなけりゃならないんだ?」
 あっさりと言うリンディを睨みかえし、毒づくように告げる。自分達はあくまでお互いに利用し合ったに過ぎないし、俺はこれ以上この連中に関わる気などない。なのに何故、ここで面と向かって話なんぞしなければならないのか。
「彼女達の今後について、色々と詰めておきたいというのが理由の一つね」
 何故か緑茶に砂糖を投入しながら――この器に宿って初めて緑茶というものを飲んだ俺でもそんな暴挙はしなかったのだが――リンディが白々と言った。
「それはもう済んでるはずだ。確か全部あの魔石のせいにするんだろう?」
 口裏を合わるためにある程度の話は聞いている。だが、報告用の細かな詳細は知らないし、別に知りたくもない。もちろん、俺達に悪影響がない限りは、だが。
「そっちじゃなくて。代償だったかしら? それの影響や治療についてよ。それに裁判終了後の事もあるでしょ」
 なるほど。それが餌か――同席するテスタロッサ親子とアルフを横目に見やり、思わず舌打ちした。
 ちなみにテスタロッサ親子はお互いに消耗しており、昨日の会話以降は再び検査やら治療やらを受けていてロクに会話はできなかったらしい。そのせいか、今朝になって改めて顔を合わせてから今に至るまで、どうにもぎくしゃくしているように思える。とはいえ、その場の勢いだけで解決するような問題でもないだから、仕方がないと言えば仕方がない事だ。時間をかけて解き解していくより他にない。と、それはともかく。
 今はリンディの質問に集中した方がいいだろう。油断していると何を探りだされるか分かったものではない。
「残念だが俺も魔物化した魔導師の相手をするのは初めてなんでね。お前達に教えられるような事は何もないな。それに被った代償は基本的に治療できない。精々鎮静して共存していくしかないな。まぁ、プレシア女史の場合は色々と特殊な状況下だったから、あるいは完治も目指せるかもしれないが……いずれにせよ未知数だと言わざるを得ないな」
 これは嘘ではない。むしろ、俺としても早急に対処しておかなければならない課題の一つに数えていいほどだ。そういう意味でも、この一件は決して無駄ではない。
「それが、彼女達を手元に置いておきた
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ