魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり4
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づかれたのはさすがに初めてだったが――思えば彼女はいつもこんな調子だった。あの子に対する私の態度や、我が身を省みず研究に没頭することに、いつも不満を示していた。その原因に思い至り、思わず苦笑する。
(私もあの子の事を笑えないわね……)
彼女が母性などと言う『余計な感情』を持っていたからこそ……私が破棄した後も、あの子は真っ直ぐに育ったのだから。
「それよりもプレシア。アリシアからお話しがあるそうですよ」
アリシア。その名前に、思わず飛び起きた。もしもここが死後の世界だというのなら、
せめて――せめてひと目だけでもあの子に……!
「ママ……」
飛び起きた先に見えたのは、いつかあの子と過ごした草原。そして、あの時と同じように花に囲まれた我が子の姿だった。あの時と違う事があるとするなら、それは――
「ママのバカ!」
今にも泣き出しそうな程に顔を歪め、小さな肩を精一杯に怒らせている事だろう。
「アリシア……」
生前、ついに聞いた事がなかった我が子の怒りの声に思わず言葉を失う。それが死への恐怖への嘆きなら……それを味あわせた私に対する呪いの言葉なら――何故助けてくれなかったのかと糾弾しているのであれば、きっと耐えられた。けれど、
「どうしてあんなことしたの!? 自分までこんなになって……いろんな人に迷惑かけて……フェイトにもあんなに酷い事をして!」
こんなにも真っ直ぐな怒り。それも、自分ではなく他人を思いやっての怒りには耐えられない。だが、考えてもみれば当然だ。私がこれまでしてきた事は、どれ一つとして優しいこの子が許してくれる訳もない。ああ、許されない事をしている自覚はあった。いつの間にか忘れていたとしても。だが、本当の意味で理解していなかったのだ。
「ごめん、ごめんなさい……」
どうか。どうか、ボロボロと涙をこぼす我が子を抱きしめる事を許してはもらえないだろうか。その場に両膝をつき、誰とも知れぬ相手に懇願する。全てが終わってしまった今になって初めて、その愚かさと罪深さを思い知った私が今さら慈悲に縋れるはずもないと分かっていたとしても。
「あのね、ママ……。私は約束を守ってくれただけで、もう充分なんだよ?」
「約束……?」
「妹が欲しいって約束。守ってくれたでしょ?」
アリシアが言っている妹。それは、あの子――フェイトだった。それくらいの事は分かる。分からない訳がない。
「ちゃんと、フェイトに謝って……それから、私の分も沢山優しくしてあげて。ね?」
「アリシア……」
我が子の願いを叶えたいと思う。けれど、それはもう――
「大丈夫。ママはまだ戻れるよ」
景色が滲む。私が泣いているせいではない。全てが薄れつつあった。
「待って! お願い、アリシア待って!」
未練など、もうない。例え同じ場所には行けな
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