第二の晩 (2)
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も愛情も...何もかもが欠けたままだ。ただ、虚しさだけが満ちている。
偽りの感情を振りかざして、人間のフリをして生きてきた。
という『設定』。本物には成り得ないという事実。
「納得しなくていい。むしろ疑っててくれ」
「......わかった」
それから、しばらくは他愛の無い話をした。酒やタバコは幾つの時に始めたのか...とか。16の時にはもう、酒もタバコも嗜んでいたと話すと、呆れたように叱られた。譲治は、酒もタバコも自ら嗜むことはないらしい。理由は、長生きしたいからだそうだ。...皮肉だな。
「............ん?」
目の前にチラついた光景に足が止まる。今のは...黄金の蝶?
俺が止まったことに気が付いた譲治も、足を止めて前方を確認する。
ヒラリと舞う黄金の蝶。
あれは、ベアトリーチェの...?
「なあ、あの部屋って...」
「あそこは、留弗夫叔父さんたちの部屋だ!」
走り出す譲治の背中を追い掛ける。縛られている分制限され、距離はどんどん離れていく。
ようやく譲治の背中に追いついた時、既に部屋のドアは開かれていた。
背中越しに香るのは、生臭さと鉄に似たもの。
硬直した譲治を押し退け部屋の中を覗き込むと、見覚えのある男女の変わり果てた姿があった。
床や壁、豪華そうな装飾、家具にまで飛び散った血痕。
掻っ切られた首に、止めを刺すかのように突き立てられた杭。
「譲治、下の奴らを呼んで来い。早く!!」
「あ、ああ」
俺の大声にびくりと反応し、それが体の硬直を解きほぐしたらしく、ぎこちなさを残しながらも早足に駆けて行った。
さて、出来ることはやっておこうか。
「倣え。煉獄の七姉妹」
血生臭い部屋で1人。皆が集まる前に、召喚で確認しておこう。
「怠惰のベルフェゴール、ここに」
「憤怒のサタン、ここに」
なるほど。俺のことは、大体理解出来ているらしい。
煉獄の名に相応しい赤い衣装に身を包んだ少女たちは、胸に手を当てて跪く。敬意を現す格好だ。
「大ローガン卿。お会い出来て光栄です」
「ん。で、これで第二の晩は完了か。そこの封筒には、ベアトリーチェからの手紙が入ってるんだな」
「はい。その通りです。これにて第二の晩は完了となります」
「ご苦労だった。休んでてくれ」
「はっ。ありがたき幸せ!」
「はっ。ありがたき幸せ!」
ベッドの上に投げられていた封筒を手にする。
近くで死に絶えている霧江の返り血がこびり付いているが、気にする程のことじゃない。
封蝋を綺麗に剥し、中の手紙を抜き取る。
封筒の中
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