コヨミフェイル
003
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なくなったらお前の悲願のアニメ化どころではなくなるぞ!」
「それなら心配いりません。そこは不肖ながらこの私が主人公、ヒロイン、ディレクター、作画、音響、特殊効果とか熟しますから」
「オールラウンダーだったのかお前はっ!」
不肖なつもり全然ないだろっ!
しかも最後面倒になって『とか』で締めくくるなよっ!
「ふふっ、私の力はまだまだこんなものではありませんよ、阿良々木さん」
休む間もくれることもなく、八九寺は続けた。
もう八九寺に振り回されてしっちゃかめっちゃか。
さっき僕と同じ制服を着た男子二人が眉を顰めて横を通り過ぎていったが、もうどうでもいい。学校内での僕の噂は絶えないし、その内容もまた奇想天外、支離滅裂なものばかりだ(半分ぐらいは本当なんだが)。
というわけで、これ以上どんな噂が立ったって痛くも痒くもない。そんなことに僅かにでも気を回させられることで八九寺との時間に水を差される方がよっぽど頭に来る。
「別にできるだけ一緒にいたいからって、ついていっているわけではないんだらね。ただ隙あらば、ナイフで心臓を一突きする機会を窺っているだけなんだからね」
「全文ツンデレ口調に統一しただけで、内容は一回目と寸分も違ってねえよ!」
前文で少しキュンとした僕はやはり八九寺の言葉の魔力に躍らされているのだろうか。八九寺の言葉の魔力による回旋曲におどらされているのだろうか。
「それより、阿良々木さん」
と、八九寺。
「ツンデレの意味を知っていますか?」
いきなりツンデレ談議が始まった。
脈絡がないという訳ではないけどさあ。
「あれだろ。表では刺々しいけど、実は内心はデレているっていうあれだろ」
「いえいえ。違いますよ、阿良々木さん」
ピンと立てた人差し指を得意げに振って言う八九寺。
「それは時代とともに変質してしまったツンデレの意味です。私が聞きたいのはツンデレの純粋で汚れのない原義です」
意味のわからないことを語りはじめたぞ、此奴。
八九寺はツンデレの座でも狙っているのだろうか。
そうならば、前途多難だな。戦場ヶ原が座を明け渡したとは言え、戦場ヶ原のインパクトが強くて今更その座についても常に背に戦場ヶ原の亡霊を感じなければならないだろう。
「わからねえよ、そんなこと」
「はー。だからダメなんですよ、阿良々木さんは。かつての戦場ヶ原さんの属性を正しく理解していないなんて」
「…………」
蔑まれる覚えはないんだが。
確かに戦場ヶ原はツンデレだったけれど、というかツンドラだったけれど、僕がツンデレの原義を知っているかいないかは関係ないだろう。更に言えば、戦場ヶ原がツンデレであろうと、なかろうと好きになってただろうしな。
…………口にしてみると、無性に恥ずかし
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