コヨミフェイル
002
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どうしたらそんな論理の飛躍ができるんだ!!」
今回ばかりは解説はできない。全く以って意味がわからない。家族との繋がりって、妹共との繋がりならまだ分かるにしもだ。
「だって唯一の家族との繋がりであるところの食卓の団欒に付き合っているのは世間体のためでしょ?」
「違うわ!」
食卓の団欒も家族との唯一の繋がりじゃねえよ!
「挨拶も社交辞令でしょ?」
「僕はそんな薄情じゃねえよ!」
「男子が『助けて!』って言ってきても、『んー、遠慮しとく』とか社交辞令で言うんでしょ」
「何でそのエピソード知ってんだよ!ていうか、それはもはや社交辞令じゃねえよ!」
多分、というか絶対戦場ヶ原が此奴等に吹き込んだな。先日妹共に戦場ヶ原を紹介したばかりなんだけどな。結構気が合ってみたいだったしな、そのときに吹き込んだんだろう。
「ったく……。そんなことを真に受けやがって、僕はどこぞの地球撲滅軍の英雄みたいな薄情者じゃねえよ」
立ち上がって言った。足はふらつかなかったし、意識もはっきりしていて既に視界が完全に回復していた。
一安心である。
「本当か?」
火憐が不安の色を呈した目で覗き込んでくる。
…………可愛い。
いやいや、何言ってんだ、僕。落ち着け。
「ああ。だからそんな心配をするな。だから目覚ましも――」
「わかった!うん、一件落着だな、月火ちゃん」
「うん、そうだね、火憐ちゃん。あっ、これ返すね」
僕が目覚ましの任から解放させようという情理を尽くした提案をしようとする前に、さっさと僕に携帯を返すとまるで申し合わせたかのように機嫌を直した二人は止める間もなく物凄い勢いで部屋を出て、
「朝ごはんできてるからすぐに下りてこいよ!」
と、だけ言い残して勢い殺さず、階段を駆け下りていった。
月火がヒスったり、火憐に首を絞められた割に幕切れが呆気なかったことに呆然としていたが、
「まあ、いいか」
と、言って嘆息した。
何がまあ、いいかなのかよくわからなかったが、起きたばかりなのにも拘わらず、もう色々と疲弊していたので、その場で腰を下ろして、嘆息するだけだった。
夏休みに入って二人のはしゃぎっぷりと言ったら手に負えない域を超越して手に負いたくない域に達している。
ついに会うことがなかったが(というか会わせたくないが)、忍野メメは二人を見て見透かしたように言うのだろう。
「元気だね〜。いいことでもあったのかい、お嬢ちゃんたち」と、
どこまでも軽薄でどこまでも見透かすようなあのエキセントリックなオーソリティは今頃どこをほっつき歩いているのだろうかと窓から見える所々に雲が浮いている青空を見据えて思った。
彼と過ごした時はたったの三ヶ月。
短いようで短くなかったように感じる。
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