コヨミフェイル
002
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るな」
折角妹達が正義マンごっこに感けているばかりで夏休みの課題を疎かにしているのではないかと兄なりに心配してやっているというのに。
「お兄ちゃんこそ宿題は終わらせたの?それとも人生を終わらせるの?」
「なんでその二択なんだよ!」
「だってそうでしょ。夏休みの宿題が終わらなかったら受験どころか卒業さえ危ぶまれるんだよ。わかってる?」
「逆に心配されている!?」
確かに妹達はエスカレーター式に進学できるのとは違って僕は受験だし、数え切れないほどの遅刻欠席早退した所為で僕の先生に対する心証は著しく悪く、課題の提出は必要不可欠なのだ。それにも拘わらず、未だ手すら付けていない。勉強を怠っているわけではないのだ。毎日死ぬ気で頑張っているのだが、課題までに手が回らないのだ。戦場ヶ原と羽川に毎日出される課題で手一杯なのだ。羽川は自分が普通と思い込んでらっしゃるから羽川にとって『軽め』の課題は僕にとっては重いし、戦場ヶ原は絶対に意図的に僕が音を上げるぎりぎりの線まで重くしているのだ。
「で、どうなんだよ、兄ちゃん?」
「ぐっ……少しはやってるぞ」
だからと言って本当のことは口が裂けても言えない。
ここで少しでも傷を広げないようにしなければならない。風前の灯の兄の沽券を守らなければならない。
薄っぺらな自尊心である。
「『少しは』じゃないでしょ?」
「すいません、まったくできてません」
しかし、薄っぺらなだけに月火に一瞬で見抜かれてしまったようだった。
「ほらやっぱり。やってるところ見たことないもんね」
「鎌かけられていたのは僕の方かよ!」
「ん?どういうこと、『鎌かけられていたのは僕の方かよ』って?」
やっちまった!
月火の話術に乗せられた!鎌かけられていないのに口に出してしまった!
だめだ。このままでは月火の話術に呑み込まれて今までひた隠しにしてきたあれやこれやを全て吐かされる。まるで敏腕刑事じゃねえか。伊達に参謀役を名乗っているわけではないということかよ。
「それと何で今日は妙に寝起きがいいのかな?まるで前もって起きていたみたいだけど」
「そうだよ、兄ちゃん。兄ちゃんが朝一番に土下座したこともすっげー驚いたけどさ、兄ちゃんが朝一番にそんなに目がぱっちり開いているのも驚きだぜ。おどろおどろきだぜ」
「ぐっ……」
「自然に起きたわけがないから、目覚ましかな?う〜ん。だけど、この部屋に目覚まし時計ないし、携帯のアラーム機能を使ったのかな?お兄ちゃん、携帯出して」
「がはっ」
勘が鋭利過ぎるわ!お前は羽川か!
「出せないの、お兄ちゃん?」
月火がニコニコしながら言う。
軽く忍の凄惨な笑みより怖い。たれ目のままなのに怖い。
「お兄ち
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