コヨミフェイル
002
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土下座って、すっごい引いちゃうね。引き引きだね。それとも今まで私たちにしてきた悪行のすべてを命を以って償いたいということかな」
「違うわ!」
体を起こして突っ込んだ。
「じゃあ何?」
「えっ?いや……だから……」
あれ?此奴等気づいてねえのか?
それとも僕が火憐に裏拳を喰らわせようとしたことを僕の口から言わせようとしているのか?
僕の裏拳が偶然の産物ではなく、意図的なものだったのか確証を得ようとしているのか?疑わしきは罰せず、疑わしきは被告人の利益にということなのか?
いや、此奴等がそんな罪刑法定主義の精神から導かれる鉄則を心得ている訳がない。天地逆転しても有り得ない。疑わしきは断罪どころではすまないだろう。
なら、本当に此奴等は気づいてねえのか?
月火はともかくとして、僕の裏拳を弾いた火憐も怪訝そうにしているところ見ると、有り得るような気がする。
だけど、弾いたはずだよな、此奴。それで気づいていないって。あまりにも不自然だ。
演技……?のはずはないか。蜂の巣みたいな頭している奴がそんな器用な真似ができる訳がないしな。
ん?待てよ。蜂の巣みたいだったら数秒前のことも忘れられるのではないか。現に火憐は僕に千単位で約束を破られているというのに僕に対する信頼は少しの揺らぎも見せない。これが記憶力の悪さからくるのであれば、火憐は驚愕すべき記憶力の持ち主ということになるよな。
う〜ん。そうであって欲しくないが、そうかもしれない。可能性は十分にある。
……鎌をかけてみるか。
「それよりさあ……………………………………」
鎌かけるにしても、どういう風に鎌かければいいのか全くわかんねえ。ていうか、鎌をかけるとか言ったが、そんな話術なんて持ってねえ。
慣れないことはするなとよく言ったものだ。
周囲に雄弁多弁な奴ばかりだから自分にも話術の才があるのではと勘違いしてしまった。思い上がってしまった。
「それよりさあ、何か弾いた覚えあるか、火憐?」
とか言ったら、蜂の巣のような頭しかない火憐は騙せても、月火は当然食い付いてくるだろう、というか火憐以外なら誰でも食い付くだろう。
食い付かれたら最後白状させられるまで離してくれないだろう。かなり面倒な状況になるのは火を見るより明らかだった。
「それより……?」
言葉が詰まって黙り込んでいると、何か察したのか月火が先を言うように促してきた。
仕方ない。ここは一度当たり障りのない雑談でもして、場を持たすしかない。
「それより今日でもうすぐ夏休みが開けるわけだが、宿題は大方片付いたのか?」
「大方じゃねえ。全部片付いてるぜ」
「全部終わっているよ。お兄ちゃんの人生ぐらい終わってるよ」
「僕の人生が終わっている前提で話をす
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