コヨミフェイル
002
[11/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んだ。
断っておくが、別に無邪気に友達の家で何をするかに思いを巡らせている妹共が愛しくて可愛らしくて愛でたい奴等だというわけでは勿論ないから誤解はしないでくれ。
それどころか朝から友達の家に遊びに行く二人を自分の分の朝食を用意しながら恨みがましい眼差しを向けているのだ。
夏休みだからと言って、どれだけ遊ぶつもりなんだよ。
もうお前等始業式まで後一週間だぜ?
僕は後五日だぜ?
しかも僕は今日も学校が主催している夏季講習に行かないといけないんだぞ。
と、心の中で毒づいている間も
「う〜ん……じゃあ……しりとりっ!!」
「なんでっ!もっと他にあるでしょ!」
「えっ!ダメなのか?じゃあ……あたまとりっ!!」
「そういう問題じゃないよ!」
と、はしゃいでいた。
会話を聞いていて無性に火憐の知能指数を疑いたくなるのは気の所為じゃないだろうな。
なんだよ、あたまとりって。
友達の家で武功を立ててどうするつもりなんだ。
いや、それともメデューサでも退治しに行くつもりなのか?
どちらにせよ聞いていて頭が痛くなるような内容だ。
つい最近になって火憐が実は目も当てられないような馬鹿であることが判明して以来、将来どんな風になるか心配で仕方がない――のは半ば嘘で半ば本気。
かといって、してあげられることもないし、させてくれはしないだろう。月火は月火なりに考えているようだが、火憐は正義マンごっこを続けると言い張って頑として止めない。しかも、自分のしていることを僕が了承したと言ってやがるからさらに質が悪い。
こんなことなら助けない方がよかったな。
貝木いわくほって置いても三日で治っていたらしいしな。
「お兄ちゃんも来る?」
食卓につき、朝食の食パンを口に運ぶが早いか月火が訊いてきた。
「は?何の話?」
理由もなく惚けてみる。
「惚けないで!プラチナむかつく!!」
至近距離からマグカップが飛んできた。
「うおっ!!」
間一髪のところでそれを受け止めた。幸いに中には湯気が立っているような熱い液体は入っていなかった。入っていたら、大火傷がみるみる回復していくところを見られるところだった。そうなれば、流石に言い訳が立たない。そのときはそのときで告白すればいいと思うかもしれないが、まだその時期ではないと僕は思う。僕は受験を控えているし、二人はまだ多感な中学生である。告白するにしても今するべきではないのは明らかだ。
そんな僕の思いやりにも拘わらず、このヒステリックは僕に余程怪我をさせたいらしい。ばれるとしたら絶対それは月火が原因だと断言できる。妹のためと思って秘密にしているというのに、それを妹が暴こうとしているのだから皮肉もいいところである。
「馬鹿か、お前はっ!!」
胸を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ