暁 〜小説投稿サイト〜
闇物語
コヨミフェイル
001
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もいい」
 と、甘言を述べてくれそうだし、地縛霊から浮遊霊に二階級特進した迷い牛に訊けば、
 「あなたの存在ですよ、阿良々木さん」
 と、なぜか罵倒されるだろうし、学校のスターであり、百合っ子であり、BL本愛読者であり、露出趣味があり、僕の恋敵であるスポーツ少女の後輩に訊けば、
 「人気のない廃墟に連れ込まれたあの夜に阿良々木先輩と犯した禁断の恋ならぬ行為のことだと思うぞ」
 と、身に覚えのないことを真しやかに言ってくれるだろうし、でっかい方の妹に訊けば、
 「マチガイ?はにゃ?強いのか?」
 と、馬鹿丸出しにほざくだろうし、小さい方に訊けば
 「それは悪の蔓延る世界だよ、お兄ちゃん」
 と、正義ぶってぬかすだろうし、ある不吉な喪服の中年に訊けば、
 「知りたいか。教えてやる。金を払え」
 の三段論法だろうし(言ったとしても出任せを尤もらしく言うだけだろう)、無表情の憑喪神であり、暴力陰陽師の式神である童女に訊けば、
 「僕が訊きたいぐらいだよ、鬼いちゃん。この世の中何が正しくて何が間違いなんだい」
 と、質問に質問を返すというタブーを無視して訊いてくるだろうし、不死身の怪異専門の暴力陰陽師に訊けば、
 「そんなもん知らんわ。知らんでも怪異は倒せる」
 と、身も蓋も無いことを言い放つだろうし、何考えているかわからない吸い込まれそうなほどに漆黒の瞳の後輩に訊けば、
 「そんなこともわからないのですか、阿良々木先輩。本当に馬鹿ですねえ。間違いの動詞形ですよ」
 と、嘯くだろうし、なんでも知ってるお姉さんに訊けば、
 「したことないからわからない」
 と、言ってのけるだろう。
 これを言えば、それこそ身も蓋も無いが、結局は十人十色なのだろう。
 それぞれにそれぞれの解釈(?)もしくは思いがあって、それがその人の考え方、価値観、世界観というものを表しているのではないのだろうか。
 そう考えると、言葉の意味なんて考えるだけ無駄なのかもしれない。辞書は結局参考でしかなく、言葉の意味は自分で決めるしかないのだろう。
 この結論はただ出発点に立ち返った、というかわかりきっていたのことのように思えるが、まあ、それはさておき、ならば僕は十人の内の一人として、十色の内の一色として沈黙を選ぶ。
 沈黙。
 すなわち、間違いという言葉の存在否定。
 間違いなんてあってほしくない。
 間違いがどういう意味であれあってほしくない。
 僕が選んだ道に『間違い』もしくはそれに類する言葉などで他人にラベリングされたくないし、したくない。浅慮だと罵られようと、現実逃避と罵られようと甘んじてそれを受け入れよう。
 ただ見栄を張っているだけなのだ。
 僕は何でも知ってるお姉さんとは違う。あの人は間違いも失敗もしていないのだろう。それに比べて
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