アインクラッド編〜頂に立つ存在〜
第四話 迷宮区にて
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進んでいく。迷宮の中に光源は存在しないが、周囲は不思議な光に満ちていた。マップデータの空白部分はあとわずかであるためそろそろボスの部屋が出てくるである、とキリトはよんでいた。回廊の突き当りには、灰青色の巨大な二枚の扉が待ち構えていた。扉にも、円柱と同じようなレリーフが施されている。その扉からは妖気が湧き出ているように感じてしまう。
「・・・これって、やっぱり・・・」
「ボスの部屋なんだろ」
そのソレイユの言葉を聞いて、アスナがキリトの、ルナがソレイユのコートの袖を不安そうな表情でつかんでくる。
「どうする・・・?覗くだけ覗いてみる」
「・・・ボスモンスターは守護する部屋から出ない。ドアを開けるだけなら多分・・・だ、大丈夫・・・じゃないかな・・・多分・・・」
「後半声がかすれてるぞ」
自身なさげに消える語尾にソレイユがつっこむ。一度大きくため息を吐き三人に言った。
「そんじゃ、俺が開けるからお前らは転移アイテムを用意しとけよ」
「「うん」」「わかった」
三人の返事が返ってきてからソレイユは扉に向かい合い、大きく深呼吸をした。
「・・・開けるぞ」
右手をルナに掴まれたまま左手に力を籠め鉄扉を押した。扉は滑らかに動き内部に隠していたものをさらけ出した。
しかし、内部は完全な暗闇であった。冷気を含んだ濃密な闇は、いくら目を凝らしても見透かすことができない。
「「「「・・・・・・」」」」
誰も口を開かずに見ていると、突然入り口からわずかに離れた床の両側に、ボッと音を立てて二つの青白い炎が燃え上がった。思わずソレイユを除く三人はビクリと体をすくませた。そして、連続的に入り口から部屋の中央に向かって真っすぐに炎の道ができた。最後にひときわ大きな火柱が上がり、部屋全体が薄青い光に照らし出された。
アスナとルナは緊張に耐えかねたのかコートの袖ではなくそれぞれの腕にしがみついている。
そして、激しく揺れる火柱の後ろから徐々に巨大な姿が出現した。見上げるような体躯は、全身縄のごとく盛り上がった筋肉に包まれている。肌は周囲の色に負けぬ深い青、分厚い胸板の上にのった頭は人間ではなく山羊の形をしていた。はっきり言えば、それは悪魔そのものだった。カーソルが出たのでおそるおそるそれを見てみるとそこにはこう記されていた。
≪The Gleameyes≫
定冠詞がついているので間違いなくこの層のボスである。それを見たソレイユが呑気につぶやいていた。
「グリームアイズっていうのか」
それと同時に突然青い悪魔が長く伸びた鼻面を振り上げ、轟くような雄叫びを上げた。口と鼻から青白く燃える呼気を噴出しながら、巨大な剣をかざして四人を輝く眼で睨み地響きを立てつつ猛烈なスピードで走り寄ってくる。
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