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日向の兎
1部
日向 ネジ2
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うになった。
結局のところ宗家はあらゆる不幸を運命だったと断じ、不条理に抗う事を捨てた存在でしかないのだ。
運命など所詮は後出しの予言でしかない。何かが起こった後、全て運命だったと切り捨てるだけの逃げの言葉だ。
俺はそんな言葉に二度と踊らされはしない。俺はそんな運命などという言葉に従って彼女に仕えるのではない。俺は他の誰でもない分家の誰かではなく日向ネジとして日向ヒジリに仕えるのだ。
「君にそこまでの意思があるというのなら止めることはしないが、最後の警告として一つだけ言わせれもらうぞ」
ヒジリ様はそう言って面を外し、その紅い白眼を解除した青い眼で俺に射抜くような視線を向けた。たった一度しか見たことのない彼女の目の色にいつもの彼女とは違う雰囲気を感じ、比較的見慣れた彼女の素顔に少し戸惑ってしまう。
「私といるとロクな事にならんぞ」
「そんな事は知っていますよ。一体何年貴女と一緒にいると思っているんですか?」
「いいだろう、その言葉をよく覚えておくといい」
彼女はそう返事をすると再び面を被り直し、その眼も元の紅に戻した。




次の日、旅館を出た俺達はガイ先生から中忍試験を受験するかどうか聞かれた。答えは言うまでもなく全員が受験すると答えた。
「それはいいんだが、ネジ……その荷物はなんだ?そういうトレーニングならばお前の為の根性重りを……」
「ヒジリ様の土産です……トレーニングでもなければ重りを付ける気もありませんから」
「ああ、ヒナタちゃんとハナビちゃんのね。ヒジリなら分からないでもないけど……正直、これはないわ」
……温泉旅館の土産など大した量にはないだろうと高を括り、荷物持ちなどを引き受けた一時間前の俺を殴りたい。
そして、何故温泉旅館に等身大の木彫りの熊が売っているんだ!!
「いやはや助かったよ。片方だけなら兎も角、二つを持って帰るのは中々に厳しいと思っていたからな」
ええ、ただの木彫りの熊二匹ならこんな苦労はしませんよ。
単純な腕力はリーに次ぐヒジリ様が悩んでいた段階で悟るべきだった。昨晩あんな事を言った事もあり、途中で投げ出す訳にもいかない。
「せ、先生、僕もネジに負けていられません!!僕にも追加の重りを!!」
「おお、俺も負けんぞ。よし、お前達。木の葉の里まで競争だ!!」
「あはは……先生とリーだけでやって下さい。熊背負ってるネジなら兎も角、この班で競争なんて勝てる気がしないしないんですけど」
テンテンがため息混じりにそう言っている間に、例の根性重りを倍の量に増やした先生とリーは既に走り去っていた。
「で、ヒジリはさっきから狂ったようにページを捲ってるけど……それ、何の本?というか、それで読めてるの?」
ヒジリ様は旅館を出てから延々と本のページを捲り、次々と裾にしまっ
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