暁 〜小説投稿サイト〜
MA芸能事務所
偏に、彼に祝福を。
第二章
五話 変ホ長調
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
名前を、PCで表示されている地図上に標していった。疎らだ。彼女たちが広がってくれた関東は三万二千平方キロある。拓海さんを除いて、今外に出ているアイドルは五人。一人当たり六千平方キロを超える。更には移動は電車を使った線上だ。ヒントによって場所がわかったとしても駅から遠ければ探しだすのは不可能だ。
 待つだけ、今は待つだけなのだ。既にこれから急いでも何もできないと自身に言い聞かせ、ただ二十一時を待った。
 二十一時。最後のヒントが送られた。
『場所は関東、中部のどこかだ。そうしてこの場所からほど近い場所に、この中の何人かは来たことがあるぞ』
 直ぐ様ビデオチャットに文を打った。
『事務所にいる方、関東圏で仕事、または慰安旅行で行った場所をちひろさんに尋ねてください』
 了解とのチャットを確認して、また地図を睨んだ。中部地方はぱっと思いつくだけでも、富山、静岡、新潟に何人かが仕事に行ったことがあることを思い出す。だが今から行くのは不可能だ。関東に絞らなければ。ただ、関東圏で限るなら、茨城栃木群馬千葉埼玉東京神奈川、全てに皆誰かは仕事に赴いたことはあるだろう。
 時計を見る。タイムリミットまであと一時間もない。バイクを使ったとしても行ける範囲は限られる。焦りが心を満たしていく。
 かなり長く思えた三分の後、事務所側からチャットが届いた。何箇所もの住所が連なる。そこには慰安旅行で私達が行った旅館の住所もあった。
 私は凛さんにその中の何箇所かをピックアップして、その場所に散らばっているアイドル達を向かわせるよう書いたメールを送った。駅から遠い場所は、拓海さん、美世さん、麗さんに振り分けなければならない。
 ただ、どうしても、遠い。絶望的に遠い。五十五分でどこまでいけるのだろうか。悩む時間はない。既に拓海さんはいいところにいるのだ。まず彼女に連絡を入れた。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ