偏に、彼に祝福を。
第二章
五話 変ホ長調
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ールが来たぞ。よく見つけたな。おめでとうだと』
携帯を取り出して、空メールの宛先を見る。私の携帯に登録されていないどれかのアドレスの携帯を彼が持っているのだろう。
『拓海さん、そのメールに返信してください。何処にいるのかと』
数分の後、拓海さんからのチャットが来た。
『二十一時に最後のヒントを出そう。ああ、バイクはどうした? と返ってきた』
そのチャットが来ると同時に、また皆の携帯が鳴った。文面を確認する。
『十八時のヒントは、既に回収したものがいるようだ
最後のヒントを二十一時に出そう。皆、焦りは禁物だぞ? 偶にはのんびり空でも見上げたらどうだ? 今日は晴れだぞ』
二十一時まで後二時間。終了が二十二時ということを考えれば、最後のヒントで答えがわかったところでここから一時間以上掛かる場所であるならゲームに負ける。つまり既に動き始めていなければならない時間だ。
『拓海さんバイクはどうしました?』
『何にも。置いてきた。キーは今はアタシが持ってる』
『そのバイク、整備されていたか?』
聖さんのチャットだ。何故そんなことを気にするのだろうか。
『アタシが見た限りは動きそうだった』
『事務所からバイクのあるビジネスホテルまでどれくらいだ?』
『飛ばせば四十分』
『拓海、今から書く住所にキー持って来い』
居間の方が騒がしくなったので、私は居間へ向かった。そこでは麗さんが慌ただしげに自身の部屋と聖さんの部屋を行ったり来たりしていた。
「どうしたんですか麗さん」
私に気づいた麗さんは、手を止めず答えた。
「私はな、自動二輪の免許を持ってるんだよ。車体は売ったがまだ運転はできる」
「バイクを使うんですか?」
「そもそもその為に達也はバイクを置いていったんだろう? 私達の足にするために」
「……そうかもしれません」
何故彼は、私達にわざわざこんなものを残したのだろうか。美世さんと拓海さんというバイク乗りがいるのにわざわざ。
「あるものは使うに限る。それではな」
麗さんは玄関から出て行った。暫くして、バイクの音が外から聞こえた。恐らく拓海さんに拾われて、あのビジネスホテルへ向かったのだろう。
私はまた明さんの部屋に戻ると、メールを作成して皆に送った。
『今からどれ程足掻こうにも時間的に行ける場所は限られます。捜索範囲を関東一帯に絞ります。そうして二十一時のヒントを使い、最後の一時間に全てをかけましょう』
二十時半、麗さんはバイクに乗って帰ってきた。拓海さんは、また向こうに残してきたらしい。麗さんは拓海さんから預かっていた携帯を私に渡した。またそれと同時に私は凛さんにメールを送った。現在首都圏に散らばったアイドル達の現在地を調べるために。
二十時五十分、返ってきたメールに書かれている駅の
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