偏に、彼に祝福を。
第二章
四話 売られた喧嘩
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いる。
「これは……」
「私のPC。おねーちゃんがデイトレしているのは知ってるでしょ? 私はPCに興味なんてなかったんだけど、達也さんにPCで皆のスケジュールを管理するのを提案されたの。それで、まぁ薦められるがまま買っちゃった」
もしや、それは。
「いつ頃にですか?」
「今年の、一月だったかな」
私が、彼に自身のスケジュールの管理等を提案されて、PCを教えてもらったのも二月の事だった。彼はその時から、恐らくこのゲームを行うことを決めていた? だが、今は気にしないでおこう。
彼女のPCにビデオ通話用のソフトを入れて、事務所で予め作っておいたゆかりさんのIDを検索して、コンタクトを取る。とりあえず、これですぐ事務所と連絡が取れる。
聖さんのアカウントのIDも入れて、全員で居間に戻った。とりあえずは、これでいい。今は隣県に拓海さん一人、この場に私と青木姉妹、事務所にゆかりさんとクラリスさん。
「それで、これからどうする」
居間のソファーに腰掛けた麗さんが、私に問いかけた。
「達也さんは、近場には居ないと思います。多人数のアイドル達が、例え一人ひとりバラバラに探しまわったとしても近場に居れば見つけ出されてしまいます。ですから、達也さんは恐らくその捜索範囲外、県外に出ているかと」
決めつけるには早くないか、と聖さんが零す。至極尤もな意見だ。
「そうかもしりません。例えば達也さんが、近くのホテルにでも偽名で泊まりこんで、部屋から一歩も出なければ話は別です。ですが、恐らくそんなことはない。これは、ゲームなんですから。絶対に勝てないような事はしないでしょう」
メールにも確かに、ゲームを始めようとあった。これがゲームなら、勝てないことはない。
「そうかもしれないが、嘘を吐いたということも」
「おねーちゃん、それはない」
聖さんを強く否定したのは、慶さんだった。同時に私も、慶さんの言わんとすることは分かった。
「達也さんは、達也さん自身について嘘を吐くことはあっても、アイドルが関わるなら嘘はつかない」
彼は、あったその日から最後に顔を合わせた昨日まで、私の事では嘘をつくことはなかったのだから。
「私もそう思う」
「私もだ」
続いて明さん、麗さんも同意したので、聖さんはバツの悪い面持ちをした。
「わ、私も彼を信じてるぞ? ただ、言ってみただけだ」
「いえ、聖さん、確かに言うことは尤もです。その可能性も捨て切れません。ですがもし、達也さんが本当にそのような行為を、十分な期間の中で準備していて実行したとするなら私達は打つ手がありません」
「あいつはやるとするなら抜かりはないからな。最初から、私達は彼が私達の勝てる可能性のあるゲームを行ったとして動くしかなかったんだよ。それを今再認識しただけで」
私の言葉の続きを
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